SuperNova SN 2004dj(Old Photo)

NGC2403 & SuperNova SN 2004dj
この写真は2004年11月17日に撮影した古い写真ですが、日本人の板垣さんが2004年7月31日に発見した超新星を撮影してみたものです。 超新星爆発が発生した場所は「きりん座」にある1180万光年彼方の渦巻銀河 NGC2403で発生したもので、7月31日の発見時には11.2等級の明るさだったようです。 私が撮影した11月17日には15等級まで減光していたのですが、一般的なカメラと一般的な望遠鏡との組み合わせでも充分写せる(ピントが超甘だったけど)明るい超新星でした。 超新星2004djの光度は今では非常に暗くなっているので、存在すら確認が難しいかも知れない。

EOS 20Daでの撮影なので焦点距離は2720mm相等だけど、さらに1.9倍ほどにトリミングしてあるので、都合5000mmを超える焦点距離で切り取った宇宙空間って感じだ。 ピントの甘さもあるけど、長秒撮影している12分間の間に大気が揺れまくるので星像がでっぷりと太ってしまう。 この写真はISO:800で撮影してるけど、ISO:19200で撮影出来るなら露出時間は30秒で済む。 最新のカメラなら当時のカメラとは比べ様も無いほど高感度性能が上っているだろうから、大気の影響が少なくなるし、ガイドエラーも少なく出来るだろう。 問題は遊びに費やす金が無い事だ...




11等級なので見掛けは暗い(肉眼じゃ絶対みえないし)超新星なのですが、1180万光年の遥か彼方で爆発したのに11等級という事は、全天で一番明るく見える恒星シリウスの位置(8.611光年のお隣さん)で爆発したら-30等級くらいの明るさだったという事だ。 ちなみに我々の太陽は-26.7等級なので、それより22倍ほど明るく見える事になる...当然だけど放射線やら熱線やらで地球は滅亡しちゃうだろう。


撮影機材
NGC2403の写真を撮影した「一般的なカメラと一般的な望遠鏡との組み合わせ」はこんなヤツで、右手前の黒い筒が望遠鏡でその下に着いているのがカメラだ。 撮影地は世界遺産登録前の富士山五合目で、当時は観光客も少なかった。


富士山五合目での夕日
無雲海だと下界の光害で
富士山五合目は超明るい
2004年当時の富士山は夜の観光客は少ないけど、天文オタクは結構いた。 路面が凍結する前に五合目に到着し、明るいうちに機材をセットアップして撮影に臨んでいた。 富士山四合目以下が雲海で覆われてしまえば、三島・御殿場からの光害がカットされるので、本当に真っ暗闇になって宇宙遊泳気分が味わえる。 ところが、雲海無しの快晴だと夜景は綺麗なんだけど、空も明るくなるし天体観測の条件は良くない。






水ヶ塚公園から望む富士山
11月17日だったので、富士山五合目に上れる最後の週末だったかもしれない。 こんなに天気が良いとあまり暗い夜空は期待できない。 この辺りが濃い霧に覆われていたりすると『富士山五合目は晴れているに違いない!』と信じて上って行くのである。 四合目辺りで雲海を抜けて快晴の空に合えれば最高なんんだけど『五合目も雲の中でした...涙』って事も多かった。

ちなみに、閉鎖間近の夜間に上る場合は鹿に注意しましょう。 道のド真ん中に鹿がいて超焦るんだけど、路面が凍結してて急ブレーキが効かなくてスリップするし、鹿も蹄が滑ってバタバタするだけで結局ぶつかってしまう。


SN1987a in LMC
超新星といえば、小柴先生のノーベル物理学賞に繋がった超新星1987aを忘れる訳にはゆかない。 この超新星は地球から16.4万光年というお隣の銀で1987年2月23日に発見され、肉眼でも観測された超新星としては383年ぶりだった。

残念ながら南半球でしか観測できない南天の大マゼラン雲で発生した超新星爆発なので、日本からは見る事は出来なかった。 けれども、岐阜県 神岡鉱山の地下1000mに建設されたカミオカンデが地球をすり抜けたSN1987aからのニュートリノを精密に捉えていた。 しかも、SN1987aからの爆発光が届く数時間前にである。 ニュートリノが光より速く進む訳じゃ無く、星の中心核の崩壊と同時に起きたニュートリノの放出を捉えたもので、可視光の伝搬は崩壊の衝撃波が星の表面に達した後に起こる遅いプロセスだから遅延が生じるらしい。

上の写真は2007年4月19日にニュージーランドのクイーンズタウンで撮影したものだ。 超新星爆発から20年も経っているので、SN1987aは辛うじて極僅かな点として確認出来る程度(間違ってるかも)である。

HSTが撮影したSN1987a
もちろん、ハッブル宇宙望遠鏡などでは爆発後の衝撃波によるリング星雲の発光などの詳細な写真が撮影されているが、普通のデジカメによる300mm程度の写真レンズではこんなもんである。






ちなみに、写真は大マゼラン雲(天の川銀河の矮小伴銀河)の一部を撮影したもので、南半球に行けば雲の様にぼんやりと眺める事が出来る...南天の夜空は実に楽しい。

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