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| LAOWA 15mm F4 WIDE ANGLE MACRO |
2016年に焦点距離が15mmという超広角レンズだけど、等倍マクロ撮影が出来るレンズが発売された。 『これなら面白い写真が撮れそうだ』と思って、2016~7年頃に購入したレンズである。 ところで、このレンズの外観写真を撮るのに EOS-1D X Mark II を出してみたけど、カメラの重量が尋常じゃない。 使うとしても EOS 5D が限度で、こんな重いカメラは二度と使わないだろう。
LAOWA 15mm F4 WIDE ANGLE MACRO 1:1
当時のメインカメラはEOSだったので、EOSマウント製品を購入して、ちょっと遊んでみた。 でも、直ぐに使わなくなったので、ちゃんと記事にしておくために再び引っ張り出してみた。 ちなみに、SIGMA 14mm F1.8 DG HSM ART も持っていたけど手放したので、2024年に
LAOWA 15mm F2 Zero-D を買ってしまった。 LAOWA 15mm F2 Zero-D はなかなか良いレンズだと思う。
レンズの仕様
購入して直ぐに使わなくなった主な原因は、開放F値が暗いのに現代の超広角レンズとしては画面周辺から隅の描写が期待より低かったのと、マクロ撮影時に大きな前枠による自身の影が邪魔になるからだ。 一応、レンズの仕様は以下の通りである。
| 製品名 | LAOWA 15mm F4 WIDE ANGLE MACRO |
| 焦点距離 | 15mm |
| 開放F値 | F4 |
| 画角 | 110°(フルサイズフォーマット) 85°(APS-Cフォーマット) |
| 対応フォーマット | フルフレーム |
| シフト量 | 上下のみ±6mm(APS-Cセンサーの場合のみ) |
| レンズ構成 | 9群12枚(特殊低分散レンズ1枚、高屈折レンズ3枚) |
| 絞り羽根枚数 | 14枚 |
| 最短撮影距離 | センサーから0.122m |
| 最小ワーキングディスタンス | 4.7mm(1:1) |
| 最大倍率比 | 1:1 |
| フォーカス | マニュアルフォーカス(MF) |
| フィルター径 | Φ77mm |
| サイズ | 84×65mm |
| 重量 | 約410g |
レンズ構成
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| レンズ構成 |
9群12枚のレトロフォーカス型で、現代のレンズだけど非球面は使われていないけど、特殊低分散レンズ(水色レンズ)が1枚使われている。 Venus Optics社のWebサイトで公開されていたMTFデータだと、像高7割までは優秀だけど、それより周辺側ではMTFが急に落ちていたと記憶している。
マクロレンズと割り切ってしまえば周辺描写のアラは気にならないけど、前玉・前枠が大きいので、マクロ能力を活かしてグイグイ近づくと、被写体がレンズの陰により暗くなってしまうのが困りものだった。
購入当時はオフカメラシューコードでストロボを離して撮影していたので、距離環の撮影距離を予め設定し、右手にカメラを持ち、左手にストロボを持ちながら、ピントが合う位置へ前後しながらアクロバティックな撮影をしていた。 とてもじゃないけど楽しく撮影できる機材じゃなかったのだ。 ストロボ光をレンズ前方に導くアダプターなどを作れば使い勝手が良くなるだろう。
最近は TECHART LM-EA7 でオートフォーカス撮影していたけど、EOS → LEICA M アダプターを持ってないので、フルマニュアル撮影してある。 もっとも、このレンズの開放値は暗いしマクロ撮影では更に暗くなるので、まともなオートフォーカス動作は厳しいと思う。
鏡筒
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| 鏡筒外観 |
鏡筒は金属製でしっかりした作りだ。 鏡筒中央付近に距離環があり、鏡筒先端側に太い絞り環がある。 絞り環は不等間隔絞りで、小絞り側はかなり詰まっていて絞り環にクリックが無い。 なお、絞り羽根は14枚なので絞り込んでも丸絞りが維持される。 鏡筒前枠径が大きいので、マクロ的な使い方をすると被写体照明が悩ましい事になる。 リングライトを装着したいけど、画面周辺にケラレが発生するのと、レンズ直前にある被写体にはリングライトの光が回らない。
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| ここまで寄れる |
距離環は無限遠から0.12m(等倍)までの回転角が90度ほどしかないので、ピント合わせは結構クイックだ。 このレンズのフォーカシングはヘリコイドではなくカムでレンズ群を移動させていて、前群と後群とが異なる移動量となるフローティング方式になっている。 距離環操作に応じて後群はほぼリニアに繰り出されるが、前群は無限遠から一度繰り込んでから近距離側では大きく繰り出される非線形な動きをする。 最短撮影距離でのワーキングディスタンスが僅か4.7mmなので、前玉が移動して繰り出して来るのは被写体に接触しそうで気持ち良くない。
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| シフトロック解除レバー |
上下のみのシフト機能が有り、鏡筒側面にシフトロック解除レバーがある。 このレバーを上に引けばシフトロックが解除されて、レンズを±6mmだけ粗動シフトすることが出来る。
シフトロックが掛かる位置は基準位置と±6mm位置の3ケ所だけだけど、ロックはされないけど中間位置にもシフト状態を保持できる。 ただし、ロックされていないので、力を加えちゃうとシフト位置が変化してしまうし、シフトがネジ微動ではないので、粗動で狙いの位置に止める必要がある。 縦位置撮影でシフトしたくなるけど、通常のシフトレンズの様な鏡筒回転機能が無いのは残念だ。
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| マウント部(EOS) |
EOSマウントだけどカメラとの通信接点はなくメカ的に脱着するバヨネットが存在するだけのシンプルなマウントになっている。 マウントに対して光学系が上下にシフトするので、後部遮光板の開口ががスリット状になっているのが特徴だ。
当然だけど、通信機能が全くないので撮影時のレンズ情報等はEXIFに一切残らない。 タンポポチップを付けても、焦点距離が残ってフォーカスエイドが使える様になるだけなので、あまり有難みはない。
ちなみに、フィルターサイズはΦ77mmだけど、フィルターを装着すると画面四隅がケラレてしまう。 Φ77→82mmステップアップリングを介してΦ82mmのPLフィルターを装着してみたけど、やはり四隅が若干ケラレてしまう。 フィルターの装着なんて考えていない設計の様だ。 なお、焦点距離15mmは画角が広すぎて、PLフィルターを装着すると偏光ムラになってしまう。
付属フード
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| 付属の樹脂製フード |
花弁型の樹脂製フードが付属していて、前枠外側のバヨネットに取り付けるタイプだ。 フィルター枠がΦ77mmなので大型フードだけど、随分と安っぽい樹脂製フードだ。 逆付け収納もできるけど、装着ロックも装着完了クリックも無いスカスカなので、ぶら提げて持ち歩くとフードが回ってしまったり、脱落してしまう事がある。 せめてクリックだけは欲しかった。
フードはの内側に遮光線などは刻んでないし、内面が結構光っている。 効果のほどは判らないけど、フード内面は艶消し処理して貰いたかった。 もっとも、接写する時はフードを外さないと照明の邪魔になるし、シフト撮影する時も邪魔になるので使わなかったが、画面外でも前玉が陽光を拾うと出目金レンズ風のゴーストが発生する。
マウントコンバーターの選択
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| COMMLITE EF-E HS を装着 |
EFマウントレンズをSONY Eマウントカメラで使うにはシグマのマウントコンバーター SIGMA MC-11 EF-E が便利だ。 ただし、MC-11 に通信できないレンズを装着(レンズ無しと同じ)すると、MC-11 が遅々と通信をトライした挙句にカメラへ妙な情報を伝達するらしく、カメラの起動が非常に遅くなるし、ストロボは発光するけどシャッターとシンクロしなくなる。 確か、MC-11 の古いバージョンだと正常に撮影すら出来なかった記憶がある。
通信機能が無いEFマウントレンズをSONY機に装着する場合は SIGMA MC-11 EF-E ではなく、METABONES や COMMLITE のマウントアダプター(METABONES EF-E の方がマウント剛性が高そう)を使うか、通信機能が無い素の EOS → SONY E マウントコンバーターを使った方が良い。
描写特性
デジタルカメラのローパスフィルターやIRカットフィルターなど、フィルム時代には考慮されていない光学部材の影響で、気にする程じゃないけど本来の描写性能は出ていないと思います。 ちなみに、絞り環にクリックが無いし、小絞り側の絞り値が詰まっているので、設定した絞り値が正確かどうかは怪しいです。
遠景描写
以下の写真はマウントアダプターを介して SONY ILCE-9 で撮影したRAW画像をIE Edit Ver.4.1.01.06121 にて、ホワイトバランスを太陽光に設定し、Dレンジオプティマイザーはオフに設定して現像してあります。
絞り:F4 |
絞り:F5.6 |
絞り:F8 |
絞り:F11 |
絞り:F16 |
絞り:F22 |
現代のレンズらしく、絞り開放でも画面中央から周辺にかけての描写はとても良く、画面隅にかけて画像が流れ気味になる。 F5.6に絞ると素晴らしい描写になるが、画面隅の流れは残っている。 F8まで絞ると画面隅の流れは解消され、F11で画面隅でも充分な描写になる。
なお、F11より絞ると回折の影響で高周波部分から微妙にボヤけ始めるが、全体的なコントラストは高い。 素敵な周辺光量落ちがあり、F8で殆ど判らなくなる。
夜景描写
以下の写真はマウントアダプターを介して SONY ILCE-9 で撮影したRAW画像を、古~い現像アプリ DxO PhotoLab 3.3.0 Build 4391 にて、ホワイトバランスを蛍光灯に設定して現像してみました。 なお、色収差補正やディストーション補正や周辺光量補正などは施していません。
絞り:F4 |
絞り:F5.6 |
絞り:F8 |
絞り:F11 |
絞り:F16 |
絞り:F22 |
絞り:F4 |
絞り:F5.6 |
絞り:F8 |
15mmの超広角だと夜景の点光源は画面上方の狭い範囲にしかないので、ちゃんとした点光源描写特性が判断し難いです。m(_ _)m
絞り開放でも画面中央付近は良い描写だけど、画面周辺から隅にかけては点光源がサジタル方向とメリディオナル方向の十字に広がっている。 F5.6に絞るとサジタルフレアは少し小さくなるけど、メリディオナル(放射方向)には伸びたままだ。 F11まで絞れば画面周辺から隅にかけての点光源も夜景として我慢できそうな感じにはなるが、低次レベルから収差が立っている感じなので、解像感は低いままだ。 現代のレンズとしては、画面周辺から隅の描写は夜景撮影には厳しい描写性能(小さなサイズの写真なら充分我慢できる)だと思う。
距離環を0.17mに設定して玉ボケ具合を撮影してみた。 意外と画面周辺でも丸い玉ボケを維持している。 玉ボケのエッジが目立って立つ事もなく、比較的穏やかなボケ方をしている。 絞り羽根が14枚あるので、絞っても丸い玉ボケが維持されている。
ディストーション具合
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| LAOWA 15mm F4 WIDE ANGLE MACRO 絞り:F11 |
陣笠タイプの嫌らしく目立つディストーションがある。 アプリで普通に指定できる樽型や糸巻型のディストーション補正では修正出来ないので、専用のレンズプロファイルが必要になる。 通信できないレンズなので、ディストーション補正機能が有るカメラのJPEG画像でも歪みまくる。 シフト機能を搭載するならディストーションは極力抑えた設計にするべきだけど、ユーザーからのクレームが多かったのか、LAOWAはこのレンズ以降に「Zero-D」と謳ったディストーションがゼロに近いレンズを複数製品化している。
シフト撮影例
LAOWA 15mm F4 WIDE ANGLE MACRO 1:1 絞り:F16 APS-Cサイズ 上6mmシフト有無の比較
APS-Cサイズならシフト設定にも対応しているので、仰ぎ見る高層マンションをシフト無しとシフト+6mmとで手持ちで比較撮影してみた。 シフト範囲が±6mmなので、パース補正できる仰角範囲は限られる。 ディストーションにより直線が若干曲がってしまうけど、正対している様な写真にはなる。
LAOWA 15mm F4 WIDE ANGLE MACRO 1:1 絞り:F8 フルサイズ 下6mmシフト有無の比較
上記写真はフルサイズでシフト撮影してみた例で、シフトした側の画面隅(上記写真では下側隅)がケラレてしまうし、描写がオッペケペぇだし、酷い陣笠ディストーションが現れてしまう。 まぁ、シフト機能はAPS-Cサイズのみという仕様なので仕方ない。
一般撮影
以下の写真は SONY ILCE-9 で撮影したRAW画像をIE Edit Ver.4.1.01.06121 にて、ホワイトバランスをオートに設定し、Dレンジオプティマイザーもオンに設定して現像してあります。 なお、記載の絞り値は撮影時の記憶に頼っているので、間違っているかも知れません。m(_ _)m
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| LAOWA 15mm F4 WIDE ANGLE MACRO 1:1 F:4 Tv:1/30s ISO:1250 APS-Cサイズ |
上記写真は購入当初に撮ったものだけど、超広角なので背景がボケていても何かしら入り込んでくれるので、その場の状況が判る。 この写真では、腕の上にいる小さなハエトリグモの背景には、テーブル越しの「ウチの娘」が写っている。 絞れば背景がもっと判る様になるけど、夜の屋内照明下なのでF4開放で撮りました...片手持ち撮影なので絞り環を操作できないしね。
絞り:F4 |
絞り:F4 |
絞り:F4 |
絞り:F4 |
絞り:F11 |
絞り:F16 |
絞り:F5.6 |
絞り:F8 |
絞り:F4 |
絞り:F4 |
絞り:F8 |
絞り:F32 |
絞り:F8 |
絞り:F22 |
絞り:F8 |
絞り:F11 |
絞り:F4 |
絞り:F4 |
絞り:F4 |
絞り:F8 PLフィルタ使用 |
絞り:F4 PLフィルタ使用 |
グイグイ寄って撮れば非日常的な映像になるのでなかなか面白いけど、レンズの影が写り込み易い。 レンズの陰にならない様な位置を探すと、斜光っぽくなる場合が多いのが困りものだ。 寄ってしまえば画面周辺はボケてしまうので、周辺の描写性能低下は殆ど気にならない。 なお、絞り込んで画面周辺でもシャープに写る様にすると、若干の倍率色収差が判るけど、目くじら立てるほどではない。
グイグイ寄れる等倍マクロレンズなので、15mm超広角であっても背景がそれなりにボケてくれる。 少し2線ボケの傾向があるけど、背景ボケが煩くザワつくことは少ない感じで、安心してボカせられる。 発色や色乗りは現代のレンズらしく悪くない。 なお、藪っぽいところで近付くと前玉の大きさが邪魔になる。 また、画面に直線を入れてしまうと、陣笠タイプのディストーションにより激しく気持ち悪い写真になる場合があるのが困りものだ。
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| LAOWA 15mm F4 WIDE ANGLE MACRO F:5.6 Tv:1/5s ISO:1600 Φ86mm PLフィルター |
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| 絞り:F8 PLフィルタ使用 |
日本に3台しかない97鍵盤の Bösendorfer Model 290 Imperial を、Φ86mmのPLフィルターで天板の写り込みを出来るだけ抑えて、木目が判り易い様に撮ってみた。 照明や背景を変えたいところだけど、展示物なので弄れない。 また、随分と昔に買ったNiSiのC-PLフィルターなので、偏光膜が劣化して少し色かぶりしている気がする。 室内撮影だと目立たないけど、青空だと濁った青色になる感じがする。
なお、15mmの超広角レンズだけど、シャッター速度が1/5秒とか1/2.5秒なので息を止めても手持ち撮影したけど、ブレを完全に止めるのは無理だった。
あとがき
15mmの超広角レンズだと余計な物が写り込み易いので、寄って寄って不要な物を排除したり、主被写体に対する広い背景として処理したりなど、構図を工夫する必要があるけど、それが楽しい作業だ。 それゆえ、現代の暗いレンズにしては画面隅の低い描写性能や、陣笠タイプのディストーションが残念だ。 等倍じゃないけどクォーターマクロで0.15mまで寄れる
LAOWA 15mm F2 Zero-D があるので、このレンズの出番は今後も少ないと思う。
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