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| MINOLTA AUTO TELE ROKKOR-QE 1:3.5 f=100mm 後期型 |
ミノルタ初のレンズ交換式一眼レフカメラ SRシリーズ用に製品化されたレンズで、自動絞りに対応している。
MINOLTA AUTO TELE ROKKOR-QE 1:3.5 f=100mm - 1962年発売
この時代のロッコールレンズにはレンズ構成が表記されていて、このレンズは「QE」と表記されている。 最初のQはQuadrupleの略で4群構成である事を意味していて、次のEはアルファベット5番目なので5枚構成である事を意味している。 群数の表現は以下の通り。
| 3群:Triple | 4群:Quadruple | 5群:Penta | |
| 6群:Hexa | 7群:Sept | 8群:Oct | 9群:Nona |
本レンズは自動絞りレバーのストロークやトルクが改善された後期型で、「つまみ」状の絞り込みレバーが装備されている。
レンズ構成
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| レンズ構成 |
4群5枚構成のエルノスター型で、第2群を凸凹貼り合わせにしていてテレゾナー風にも見える。 エルノスター型は明確なテレフォトタイプじゃないけど、100mm程度の焦点距離なら無理に短くする必要も無い。 光学系は1959年発売の前期型と同じである。
AUTO TELE ROKKOR-QE 100mm F3.5 の鏡筒はしっかりした作りで、比較的コンパクトな望遠レンズだけど、1976年に発売された
TAMRON 1:2.5 f=105mm(CT-105)はF2.5と明るくて更にコンパクトなレンズだった。 タムロンレンズは教科書に載ってそうな4群4枚の古典的エルノスター型を採用していて、描写性能は別として標準レンズ並みにコンパクトだった。
エルノスター型は近距離で増大する球面収差や色ボケが顕著になりやすい。 このレンズは開放値がF3.5に控えていて、第2群を凸凹貼り合わせとして色収差を抑えているので、そこそこの性能が期待できる。 後の1968年に約1段明るい PF 1:2.5 f=100mm が発売されて QE 1:3.5 f=100mm は姿を消した。
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| LV刻印付き絞り環 |
絞り環には白い絞り値の他に黄色いLV値が小さく刻印されていて、LV露出計対応製品なので後期型でも初期のレンズである。 また、このレンズの絞り羽根は8枚だけど、後の ARC型以降は6枚羽根になっている。
最短撮影距離が1.2m(撮影倍率0.1倍)とちょっと遠いので、0.9m程度(撮影倍率0.14倍)まで寄れたら嬉しかった。 フィルター径はΦ55mmで、先端が幅広の銀色になっている。 これはスリップオン式フード D57KD の脱着によるキズが目立たない様にする対策である。
ちなみに、一眼レフ用の 100mm F3.5 レンズが発売される1年前の1958年に、Minolta-35 用でL39ライカマウントの製品が発売(滅多に見かけない)されていて、この光学系が一眼レフ用としても流用された。
QE 1:3.5 f=100mm の変遷
ROKKOR-QE 1:3.5 f=100mm は大別すると 前期型・後期型・ARC型・MC型 があり、本個体は後期型である。 各タイプの特徴は以下の通り。
| Type | 発売年 | 各タイプの特徴 |
| 前期型 | 1959年 | フィルター径:Φ55mmで幅広の銀色 絞り値範囲:F3.5~F22(8枚羽根) 絞り環仕様:不等間隔でロックされる ロック解除釦:あり(歯車型) 絞り込み釦:なし LV値刻印:あり 絞り駆動レバー:長ストローク 大きさ・重さ:Φ63×59mm 310g 備考・その他:完全自動絞りボディーでは正しく絞られない |
後期型 (本レンズ) | 1962年 | フィルター径:Φ55mmで幅広の銀色 絞り値範囲:F3.5~F22(8枚羽根) 絞り環仕様:等間隔でクリックタイプ ロック解除釦:なし 絞り込み釦:あり(つまみ型レバー) LV値刻印:あり(途中でLV刻印廃止) 絞り駆動レバー:短ストローク 大きさ・重さ:Φ63×59mm 300g 備考・その他: |
| ARC型 | 1965年 | フィルター径:Φ52mmの黒枠で前面のみ銀色 絞り値範囲:F3.5~F22(6枚羽根) 絞り環仕様:等間隔でクリックタイプ ロック解除釦:なし 絞り込み釦:あり(歯車型) LV値刻印:なし 絞り駆動レバー:短ストローク 大きさ・重さ:Φ60×54mm 235g 備考・その他: |
| MC型 | 1966年 | フィルター径:Φ52mmの黒枠で前面のみ銀色 絞り値範囲:F3.5~F22(6枚羽根) 絞り環仕様:等間隔でクリックタイプ ロック解除釦:なし 絞り込み釦:あり(歯車型) LV値刻印:なし 絞り駆動レバー:短ストローク 大きさ・重さ:Φ60×54mm 240g 備考・その他:TTL開放測光対応 |
この頃のミノルタ製レンズの名称には TELE ROKKOR など、レンズの種類が判る様になっていたけど、広角レンズは WIDE ROKKOR ではなく W.ROKKOR という記載で「W.」だけに省略されていて、略号規則は以下の様になっていた。
| 略号 | 英語記述 | レンズの種類 |
| W. | WIDE-ANGLE | 広角レンズ |
| なし | STANDARD | 標準レンズ |
| TELE | TELEPHOTO | 望遠レンズ |
| ZOOM | ZOOM | ズームレンズ |
| MACRO | MACRO | マクロレンズ |
絞り込み操作レバー
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| 絞り込み操作レバー |
本レンズは完全自動絞り対応した後期型で、各絞り値には0.5段ごとのクリックがある。 マウント基部の右下方に銀色で「つまみ」状の絞り込みレバーが装備されている。 ただ、鏡筒から大きく出っ張った「つまみ状」の絞り込み操作レバーは邪魔くさい。 なお、前期型では絞り込み機能は無く、絞り環が各絞り値にロックされるので、ロックを解除する歯車状のロック解除釦が絞り環に付いていた。
後のARC型では歯車状の絞り込み釦に変更され、MC ROKKOR になっても歯車状の絞り込み釦で製品化されていた。
緑のロッコールではない
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| 緑のロッコールではない |
当時のロッコールレンズは前玉の2層アクロマチックコーティングが見る角度によって緑色に見える事から、『緑のロッコール』と呼ばれていた。 ところが AUTO TELE ROKKOR-QE 1:3.5 f=100mm はどんな角度から覗いても緑色の反射面は見当たらないので、2層アクロマチックコーティングを使っていない様だ。 なので、『緑のロッコール』とは呼べないレンズだけど、MC型では『緑のロッコール』になっていた様だ。
適合フードは D57KD
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| 適合フードはD57KD |
フードを装着しないで前玉が陽光を拾う様なシーンではハッキリとした迷光フレア・ゴーストが発生する。 また、陽光を拾わなくても画面外の高輝度部分(薄曇りの空など)が迷光として画面のコントラストが低下する。 迷光フレア・ゴーストマニア以外の人はフードを装着した方が良い。
本レンズの適合フードはスリップオン式の D57KD で、内径が距離環外径とぴったりなので逆付け収納が可能だ。 フード内面が植毛処理されているので距離環にキズが付く事も無い。 バッグなどで携行する時にフロントキャップの上から逆付けすればコンパクトに収納できるけど、逆付けロックは出来ないので逆付けしてカメラをぶら下げると落としてしまう。 なお、ARC型以降はフィルター径がΦ52mmになったので、D54KD か D52NE が適合する。
分解・清掃・修理
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| 分解・清掃中 |
古いミノルタのレンズは絞りが粘ることが多い...気がする。 本個体も例外ではなく、絞りが粘って動きにくくなり、小絞りにすると歪な形になる。 恐らく、絞り羽根の駆動が渋くて、各羽根の動きに負荷ムラがあるのだろう。 このままだと絞り羽根がバラける心配がある。
そこで絞りユニットを清掃する事にしたけど、分解は難しくなく、銘板→フィルター枠→締め付け環の順に外せば、光学ユニットを丸ごと前方へ抜き出せる。 マウント側の絞り駆動レバー系には問題は無く、光学ユニット内の絞り羽根駆動系が渋くなっている様だ。 前方レンズ群と後方凸レンズを外して、絞りユニットを取り出して全バラにしてベンジン洗浄したので、自動絞りが気持ち良く動作する様になり、小絞りでも綺麗な8角形になった。
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| 汚れた絞り羽根ユニット |
絞り駆動が渋くなった原因は、摺動リングに塗布されたオイルが揮発する事で微細なゴミが羽根や摺動リングに固着して、羽根の動きが渋くなった様で、洗浄後のベンジンには沢山のゴミが沈んでいた。 なお、絞り羽根を組み戻す時は、クリアランスなどの微妙な調整が必要でちょっと難しい。
ついでに、ヘリコイドグリス交換と、各レンズ面も全て清掃したので、フルレストアみたいになってしまった。 ちなみに、光学ユニットをヘリコイドユニットに戻す場合は、光学ユニット前方を下向きに置いてピントワッシャーを装着してから、ヘリコイドユニットを上から被せる様にした方が合体させる位置位相を把握し易かった。 このとき、テレフォンカードみたいなシートを敷いておくと、作業後に鏡筒全体をひっくり返すのが楽です。 鏡筒全体をひっくり返したら、上方から締め付けリングを落として光学ユニット締め込めば良い。
描写特性
デジタルカメラのローパスフィルターやIRカットフィルターなど、フィルム時代には考慮されていない光学部材の影響で、気にする程じゃないけど本来の描写性能は出ていないと思います。
遠景描写
以下の写真は片ボケ調整したマウントアダプターを介して SONY ILCE-9 で撮影したRAW画像をIE Edit Ver.4.1.01.06121 にて、ホワイトバランスを太陽光に設定し、Dレンジオプティマイザーはオフに設定して現像してあります。
絞り:F3.5 |
絞り:F5.6 |
絞り:F8 |
絞り:F11 |
絞り:F16 |
絞り:F22 |
遠景描写の絞り開放でも画面中央はとても良い描写で、画面隅でも良い描写だ。 絞りF5.6では画面中央付近は素晴らしい描写で、画面隅でもすこぶる良い描写になる。 絞りF8なら画面全域で素晴らしい描写になる。 なお、F22だと回折の影響でボヤけ始める。
絞りF3.5開放では素敵な周辺光量落ちがあり、絞りF5.6で殆ど目立たなくなり、絞りF8で完全に解消する。
夜景・点光源描写
以下の写真はマウントアダプターを介して SONY ILCE-9 で撮影したRAW画像を、古~い現像アプリ DxO PhotoLab 3.3.0 Build 4391 にて、ホワイトバランスを蛍光灯に設定して現像してみました。 なお、色収差補正やディストーション補正や周辺光量補正などの光学補正は施していません。
絞り:F3.5 |
絞り:F5.6 |
絞り:F8 |
絞り:F11 |
絞り:F16 |
絞り:F22 |
絞り:F3.5 |
絞り:F5.6 |
絞り:F8 |
絞りF3.5開放でも画面中央付近は良い描写で、画面周辺でも崩れないのが良い。 F5.6に絞ると画面中央付近は素晴らしい描写で、画面隅の点像も締って夜景として充分な描写になる。 F8に絞れば画面全域で素晴らしい描写になる。 絞り羽根が8枚なので、絞り込むと輝点の周りに8本の光芒が現れる。
玉ボケ描写は距離環を2mの設定して夜景を撮影してあります。 絞り開放の玉ボケ描写はエッジが立つことも無く素直な玉ボケだ。 画面周辺ではレモン型の玉ボケになるが、嫌らしさはない。 F5.6に絞れば8角形の玉ボケになり、画面周辺でも8角形の玉ボケが揃う。 玉ボケを見る限りボケ味はとても良さそうだ。
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