CANON Serenar 35mm F2.8 L39 - 明るくなった広角レンズ

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CANON SERENAR f:2.8 35mm L39(手前は包金小判型レンズケース)
CANON SERENAR f:2.8 35mm L39
 1950年代になると日本の光学技術も向上し、ドイツ製品を凌駕する仕様の製品を出せる様な時代になりつつあった。 特に広角域ではライカより日本勢がリードする様になってきて、ツァイスの Biogon 35mm F2.8 と同仕様の製品を日本でも作れる様になってきた。

CANON SELENAR f:2.8 35mm L39 - 1951年発売

 ライカの35mmが1946年発売の Summaron f=3.5cm 1:3.5 だった時代の1951年に、明るい広角レンズである SERENAR f:2.8 35mm が発売された。 光学の雄であるツァイスは戦前から Biogon 1:2.8 f=3.5cm を製品化していたが、ライカの明るい広角レンズである Summaron f=3.5cm 1:2.8 は1958年まで待たなければならなかった。

レンズ構成

CANON SERENAR f:2.8 35mm L39 レンズ構成図
レンズ構成図
 このレンズは4群6枚構成のダブルガウス型で、広角レンズには不向きなダブルガウス型だけど、レンジファインダー用の35mmなら充分に対応できる範囲だ。 他社からもダブルガウス型を採用した35mmの広角レンズが多数発売されていた。 問題は画面周辺のコマ収差をいかに補正するかで、設計者の腕が試されるカテゴリのレンズである。

フード傘部は 50mm F1.8 / 35mm F2.8 / 35mm F3.2 と共用
共用フード
 絞りはF2.8からF22までの不等間隔絞り環で、各絞り値にクリックが設けられている。 絞り羽根は6枚で、絞れば輝点の玉ボケは6角形になる。 フィルター径はΦ34mmで、SERIES IV フィルターを挟める内径Φ36mmの締め付け式フードアダプター(Φ34mmネジ込み式もある)を介してフード傘部を装着する。 フード傘部は 50mm F1.8 / 35mm F2.8 / 35mm F3.2 と共用になっている。 銀色の傘部でも後に発売された黒塗りの傘部でも、好みの色を選べは良いだろう。
専用の小判包金型ケースには外付けファインダーと共に収納できる
小判包金型のレンズケース
 また、小判包金型の革製レンズケースがあり、レンズ本体と外付けファインダーを収納できる。 外付けファインダー接眼部には距離ダイヤルがあり、パララックスを補正出来る様になっているけど、大抵はパララックス補正なんて忘れて覗いちゃう。
 最短撮影距離が1mと遠いので、35mm広角レンズなら大きな問題にはならないだろう。 当然ながらマウントアダプターで一眼デジカメで撮影するには必要ないけど、あえて外付け光学ファインダーで「往年の雰囲気」を楽しむのも良いかも知れない。 そんな場合は SONY α7C シリーズみたいな頭が出っ張らないカメラが似合うだろう。

描写特性

 今回は TECHART LM-EA7 を介して SONY ILCE-9 にて、オートフォーカスも使用して撮影してみた。 CANON LENS 50mm F1.5 L39 などと違って、画面周辺ではオートフォーカスが効かない。 画面左右方向に対しては中央1/3程までで、上下は8割ほどまでがAF可能だ。 恐らく、射出瞳距離や瞳径などがオートフォーカス可能な範囲と大きく異なるのだろう。 また、画面中央でもオートフォーカス動作がかなり怪しい。

遠景描写

 以下の写真は SONY ILCE-9 で撮影したRAW画像をIE Edit Ver.4.0.00.10311 にて、ホワイトバランスは太陽光に設定し、Dレンジオプティマイザーはオフに設定して現像してあります。
CANON SERENAR f:2.8 35mm L39 絞り:F2.8
絞り:F2.8
CANON SERENAR f:2.8 35mm L39 絞り:F4
絞り:4
CANON SERENAR f:2.8 35mm L39 絞り:F5.6
絞り:F5.6
CANON SERENAR f:2.8 35mm L39 絞り:F8
絞り:F8
CANON SERENAR f:2.8 35mm L39 絞り:F11
絞り:F11
CANON SERENAR f:2.8 35mm L39 絞り:F16
絞り:F16
 絞り開放でも画面中央付近はとても良い描写で、画面周辺ほどコマフレアーにまみれてボヤけてしまう。 絞るごとに良像範囲が広がってゆく感じで、F8まで絞ると画面周辺でも満足できそうな描写になり、F11なら画面極四隅を除いて素晴らしい描写になる。
 周辺光量落ちは急に落ち込むタイプで、1段絞るごとに改善し、F8でほぼ解消される。 なお、発色はニュートラルで、僕好みの色乗りを見せてくれると感じる。

夜景描写

 以下の写真は SONY ILCE-9 で撮影したRAW画像を古~い現像アプリ DxO PhotoLab 3.3.0 Build 4391 にて、ホワイトバランスは蛍光灯に設定して現像してみました。 なお、色収差補正やディストーション補正や周辺光量補正などは施していません。
CANON SERENAR f:2.8 35mm L39 絞り:F2.8
絞り:F2.8
CANON SERENAR f:2.8 35mm L39 絞り:F5.6
絞り:F5.6
CANON SERENAR f:2.8 35mm L39 絞り:F11
絞り:11
CANON SERENAR f:2.8 35mm L39 絞り:F2.8
絞り:F2.8
CANON SERENAR f:2.8 35mm L39 絞り:F4
絞り:4
CANON SERENAR f:2.8 35mm L39 絞り:F5.6
絞り:F5.6
 絞り開放の画面中央は良い描写だけど、画面周辺にゆくほど収差フレアにより輝点が蛾の様に広がっていて、ボヤけた描写だ。 F5.6まで絞れば画面周辺でも『使えるかも』と感じさせる描写になる。 F8かF11まで絞れば画面周辺から隅でも充分な夜景描写になる。
 玉ボケ描写では、35mmなのでボケが小さいことから、距離環は無限遠のままマウントアダプターを最大繰出し(4.5mm)に設定して、レンズ単体より大幅に繰り出した状態です。 少しエッジが立ち気味で、画面周辺はラグビーボール形になるけど、妙なボケ形状ではない。 背景ボケに少し二線ボケの傾向があるけど、嫌なボケ方はしないだろう。

一般撮影

 以下の写真は SONY ILCE-9 で撮影したRAW画像をIE Edit Ver.4.0.00.10311 にて、ホワイトバランスをオートに設定し、Dレンジオプティマイザーもオンに設定して現像してあります。 なお、記載の絞り値は撮影時の記憶に頼っているので、間違っているかも知れません。m(_ _)m
CANON SERENAR f:2.8 35mm L39 絞り:F2.8
絞り:F2.8
CANON SERENAR f:2.8 35mm L39 絞り:F5.6
絞り:F5.6
CANON SERENAR f:2.8 35mm L39 絞り:F2.8
絞り:F2.8
CANON SERENAR f:2.8 35mm L39 絞り:F2.8
絞り:F2.8
CANON SERENAR f:2.8 35mm L39 絞り:F2.8
絞り:F2.8
CANON SERENAR f:2.8 35mm L39 絞り:F2.8
絞り:F2.8
CANON SERENAR f:2.8 35mm L39 絞り:F2.8
絞り:F2.8
CANON SERENAR f:2.8 35mm L39 絞り:F2.8
絞り:F2.8
CANON SERENAR f:2.8 35mm L39 絞り:F2.8
絞り:F2.8
CANON SERENAR f:2.8 35mm L39 絞り:F2.8
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CANON SERENAR f:2.8 35mm L39 絞り:F2.8
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CANON SERENAR f:2.8 35mm L39 絞り:F2.8
絞り:F2.8
CANON SERENAR f:2.8 35mm L39 絞り:F2.8
絞り:F2.8

絞り:F2.8
CANON SERENAR f:2.8 35mm L39 絞り:F2.8
絞り:F2.8
CANON SERENAR f:2.8 35mm L39 絞り:F2.8
絞り:F2.8
CANON SERENAR f:2.8 35mm L39 絞り:F2.8
絞り:F2.8
CANON SERENAR f:2.8 35mm L39 絞り:F5.6
絞り:F5.6
CANON SERENAR f:2.8 35mm L39 絞り:F2.8
絞り:F2.8
CANON SERENAR f:2.8 35mm L39 絞り:F5.6
絞り:F5.6
CANON SERENAR f:2.8 35mm L39 絞り:F11
絞り:F11
 梅雨時期の曇り空なので陽ざしが無かったので、特性が判り難い撮影条件です。 遠景や平面的な被写体では絞り開放での画面周辺描写は「オールドレンズらしい」ボヤけた描写になるが、F8やF11に絞れば画面隅でも充分な描写になる。
 一方、絞り開放でも立体的な被写体なら、画面周辺に主被写体を配さなければ高い描写力を示す。 絞るにつれて主被写体を配置できる範囲が広がる感じだ。 なお、背景ボケは滑らかな方だと思う。 発色はニュートラルな発色で僕好みの発色だと感じるし、色乗りも悪くない。

 現代のレンズと違って、描写のクセを考えて構図や絞りを選択しないと思った様に写らないけど、それが楽しい素敵なオールド広角レンズだ。  なお、今回はゴーストや逆光フレアーを確認できなかったけど、ダブルガウス型らしいゴーストは発生する。

あとがき

売却した SERENAR f:3.2 35mm
SERENAR f:3.2 35mm
 1951年の SERENAR f:2.8 35mm 発売の数か月前に SERENAR f:3.2 35mm が発売されていた。 価格差が大きければ商品として意味があるけど、
価格は殆ど同じだったと記憶している。 前年には SERENAR f:3.5 35mm が発売されているし、何で f:3.2 を製品化したのか判らない。 実は SERENAR f:3.2 35mm も持っていたんだけど、随分前にオークションで売却してしまったので、もう比較出来ないのが残念だ。
 ちなみに、翌1952年にキヤノン製品より少し明るくした W-NIKKOR 1:2.5 f=3.5cm が日本光学から発売されたが、相変わらず絞りを操作し難いレンズだった。

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