レンズ構成
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| レンズ構成図 |
このレンズは4群6枚構成のダブルガウス型で、28mmの広角レンズでダブルガウス型を採用したレンズは極めて少なかったと思う。
一般的にダブルガウス型レンズは対象型なので、ディストーションなどが少なく明るい光学系に出来るけど、ゴーストが出易いし球面収差やコマ収差の補正が難しいく、画角が広い広角レンズには向かないタイプである。 焦点距離が35mm程度なら充分に対応可能だけど、28mmとなると収差補正のバランスが難しかったたろう。 レンズの構成図を眺めると、対象型ではあるけど後群径が大きく、画面周辺の収差補正は主に後群が担っている感じに見えるけど、非点収差の補正具合が気になる。
収差バランス的にはオルソメター型を採用した方が良い気がするけど、ダブルガウス型で設計しようと考えたのは誰だったのだろう? 設計開始時点では伊藤宏氏はまだ新人時代だったしなぁ...
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| 小判包金型のレンズケース |
絞りはF3.5からF22までの不等間隔絞り環で、各絞り値にクリックが設けられているけど、詰まりぎみの絞り値間隔だ。 絞り羽根は6枚で、輝点の玉ボケは6角形になる。 フィルター径はΦ34mmで、対応フードがあったのかは知らないが、ピント調節する左手の指が写り込んでしまう事があるので、何らかの「指防止」を装着して撮影したい。
小判包金型の革製レンズケースがあり、レンズ本体と外付けファインダーを収納できる。 外付けファインダーにはパララックス補正機能はない。 パララックス補正機能が有ったとしても、大抵は補正し忘れて撮影しちゃうし、広角28mmなら不要だ。
描写特性
今回は
TECHART LM-EA7 を介して SONY ILCE-9 にて、オートフォーカスも使用して撮影してみた。 CANON LENS 50mm F1.5 L39 などと違って、画面周辺ではオートフォーカスが効かない。 画面左右方向に対しては中央1/3程までで、上下は8割ほどまでがAF可能だ。 恐らく、射出瞳距離や瞳径などがオートフォーカス可能な範囲と大きく異なるのだろう。 また、画面中央でもオートフォーカス動作がかなり怪しい。
なお、デジタルカメラのローパスフィルターやIRカットフィルターなど、フィルム時代には考慮されていない光学部材の影響で本来の描写性能(特に画面周辺)は出ていないと思います。
遠景描写
以下の写真は SONY ILCE-9 で撮影したRAW画像をIE Edit Ver.4.0.00.10311 にて、ホワイトバランスは太陽光に設定し、Dレンジオプティマイザーはオフに設定して現像してあります。
絞り:F3.5 |
絞り:4 |
絞り:F5.6 |
絞り:F8 |
絞り:F11 |
絞り:F16 |
絞り開放でも画面中央付近はとても良い描写だけど、画面周辺ほど収差が多くなってボヤけてしまう。 画面隅手前あたりでは周辺光量落ちによる絞り効果で妙に解像する部分がある。 絞るごとに良像範囲が広がってゆく感じで、F8まで絞ると画面隅を除いて良い描写になる。 風景などの遠景描写ならF8かF11で撮影すれば満足できそうな描写になるけど、画面極四隅は良くならない。
周辺光量落ちは急に落ち込むタイプで、画面右上は絞ってもケラレの様に残ってしまう。 28mm 1:2.8 L39 ではこの様な現象は発生しないし、射出瞳位置も大きく違わなさそうだし、ちょっと妙な現象だだ。
夜景描写
以下の写真は SONY ILCE-9 で撮影したRAW画像を古~い現像アプリ DxO PhotoLab 3.3.0 Build 4391 にて、ホワイトバランスは蛍光灯に設定して現像してみました。 なお、色収差補正やディストーション補正や周辺光量補正などは施していません。
絞り:F3.5 |
絞り:F5.6 |
絞り:11 |
絞り:F3.5 |
絞り:5.6 |
絞り:F8 |
絞り開放の画面中央は良い描写だけど、画面周辺にゆくほど収差が増えて輝点がボヤけた描写だ。 コマ収差は派手な出方ではないけど、横収差図的に最初から傾いている感じで、硬いコマ収差だ。 また、非点収差もある様で絞っても改善が鈍く、周辺描写はなかなか改善しない。 F8まで絞れば画面周辺でも我慢出来そうになり、F11まで絞れば画面隅でも夜景描写として使えそうになる。 6枚絞りなので、絞り込むと輝点に6本の光芒が発生し、スノークロスフィルターを装着した様になる。
玉ボケ描写では、28mmなのでボケが小さいことから、距離環は無限遠のままマウントアダプターを最大繰出し(4.5mm)に設定して、レンズ単体より大幅に繰り出した状態です。 リング状のバブルボケ傾向なく、画面周辺はラグビーボール形になるけど、妙なボケ形状ではない。 周辺光量落ちはあるけど背景ボケは自然なボケ方をしてくれるだろう。 なお、通常より繰り出した状態なので、周辺光量が無限遠状態より豊富(画角が狭くなるので)になっていると思う。 6枚絞りなので、絞ると輝点の玉ボケが6角形になるが、28mmレンズなので大きな玉ボケにはならないことから、あまり気にならないだろう。
一般撮影
以下の写真は SONY ILCE-9 で撮影したRAW画像をIE Edit Ver.4.0.00.10311 にて、ホワイトバランスをオートに設定し、Dレンジオプティマイザーもオンに設定して現像してあります。 なお、記載の絞り値は撮影時の記憶に頼っているので、間違っているかも知れません。m(_ _)m
絞り:F3.5 |
絞り:F3.5 |
絞り:F5.6 |
絞り:F8 |
絞り:F3.5 |
絞り:F5.6 |
絞り:F3.5 |
絞り:F3.5 |
絞り:F3.5 |
絞り:F3.5 |
絞り:F3.5 |
絞り:F5.6 |
絞り:F3.5 |
絞り:F5.6 |
絞り:F8 |
絞り:F3.5 |
絞り:F5.6 |
絞り:F8 |
梅雨時期の曇り空なので陽ざしが無く、特性が判り難い撮影条件です。 絞り開放でも画面中央付近に被写体を配してピントを合わせた部分は充分な描写で、絞るほどに配置できる画面範囲が少しずつ広がる感じだ。 F8まで絞れば遠景や平面的な被写体でも、画面四隅を除いて充分な描写になる。
ニュートラルな発色で色乗りも悪くないので、少し色乗りが浅めの CANON LENS 28mm 1:2.8 L39 より僕好みの発色だと感じる。
画面周辺から隅にかけては絞ってもなかなか描写が向上しないけど、遠景や平面的な被写体でなければ充分に使えるオールドレンズだと思う。
あとがき
精機光学のカメラ生産当初は日本光学から NIKKOR 1:4.5 f=5cm や NIKKOR 1:3.5 f=5cm を供給して貰っていたが、精機光学は自社光学技術を向上させ、独自にレンズを設計・製造できる様になってきた。 精機光学の光学技術向上に貢献したのは日本光学から引き抜かれた技術者たちだ。 当然、大井町の日本光学としては面白くない状況だったハズで、噂によると目黒の精機光学に対してレンズ供給を停止した様だ。 なお、キヤノンは1952年頃に本社。工場を下丸子へ移転している。
そんな関係なので、日本光学が精機光学の後塵を拝する訳には行かない事から、W-NIKKOR 1:4 f=2.8cm を慌ててF3.5へ設計変更したのも頷ける。
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