Canonflex RM - 1962年発売 Rシリーズ最終機

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Canonflex RM と SUPER-CANOMATIC LENS R 50mm 1:1.8 Type-2/3
Canonflex RM と SUPER-CANOMATIC LENS R 50mm 1:1.8 Type-2/3
 1959年に始まった Canonflex R シリーズは、4機種目の Canonflex RM で幕を閉じる事になったが、次の FL マウントでも開放測光は実現できず、1971年のFDシステムまで他社の後塵を拝することになる。

Canonflex RM

カメラの特徴

Canonflex RM と Canon 7
Canonflex RM と Canon 7
 Canonflex RM は Canonflex R シリーズとしてマウント仕様は同じだけど、巻き上げレバーを右上方側に配置して使い勝手を向上させたカメラで、シャッターダイヤルに連動するセレン光電池式の露出計を内蔵している。 レンジファインダー機で露出計を内蔵した Canon 7 を一眼レフにしたような雰囲気である。 一眼レフとしては左右の両肩が高いことから、ペンタ部が極端に低く見えるのも一因だろう。
 それにしても、同じ開放F値のレンズなのにSレンズとはエラく大きさが違う。 カメラの上カバーを外すと無駄な空間が沢山あり、『空気は売らない』というソニーのフレーズが思い浮かぶ。

カメラ上面

Canonflex RM のカメラ上面
カメラ上面
 上面に巻き上げレバーが無いので、大型で回し易いシャッターダイヤルがある。 外光式の露出計が内蔵されているので、シャッターダイヤル内にフィルム感度設定窓があり、露出計はシャッターダイヤルと連動している。
 レリーズボタンとペンタ部の間でフィルム面寄りに長方形の黒枠に丸窓のフィルムカウンターがある。 Canonflex では異常に見難かったカウンター数値が少し見易く改善されてはいるけど、見易いという訳ではなう。 カウンター窓に着いている凸レンズは無い方が反射が無くて見易いんじゃないかと思う。
 巻き戻しクランクとペンタ部との間に露出計があり、クランク周りにシャッターダイヤルと連動する絞り値指標があり、メーター指針が示す絞り値に設定すれば適正露出が得られる。

巻き上げレバー

巻き上げ操作時だけ隙間カバーが開く
巻き上げレバー
 底部トリガーによる巻き上げ方式が「やっと」改められ、巻き上げレバーが右側上方に移った。 上面ではないけど一般的な一眼レフと同じ操作性になったので、底部トリガー式の時と違って、左手はホールディングやピント合わせに専念できる。
 なお、巻き上げ途中でレバーを離せば定位置に戻れけど、小刻みな分割巻き上げは出来ないので、一気に巻き上げる必要があるが、Canonflex の様な巻き上げ最後の「ガチョッ」という感触は無くなった。

カタログに掲載されたカメラの巻き上げレバーには「Canon」の白文字刻印がある
カタログの巻き上げレバー
 巻き上げレバーを上面にしなかった事により、従来の Canonflex シリーズ同様に大きなシャッターダイヤルが配置できたけど、上カバーの背面・側面にはレバーを作動させる隙間があるので、巻き上げ機構にゴミが入りまくる欠点がある。
 対策として隙間カバーを設けて、巻き上げ操作を行うときだけ隙間のカバーが開く様に工夫されている。 それでも密閉される訳ではないので、ゴミが入り易いのは事実だろう。
 ちなみに、カタログに掲載されたカメラの巻き上げレバーには「Canon」の白文字刻印があるけど、僕の個体は黒一色の巻き上げレバーで、刻印もない。 アクセントとして悪くないと思うのだけど、カタログ撮影に使う量産試作機までの白刻印だったのだろうか?

内蔵露出計

測光部は右肩前面にありメーター左肩上面にあるる
露出計を内蔵
 Canon 7 と同様のシャッター速度ダイヤルと連動する外光式露出計が内蔵され、メーターが指す絞り値をレンズにセットすれば適正露出となる。 説明書には露出計の測光範囲に関する記述がないので、撮影範囲外の影響がどの糖度あるのか判らないが、深く考えるなという事なのだろう。 また、同じく説明書にはメーター指針のセロ調節方法も記載されていて、自分で調整が必要になる事が良くあるという事なのだろう。
 セレン光電池は右肩前面(写真では左側)にあり、メーターは左肩上面(写真では右側)にある。 僕のRMの露出計は動作しているけど、65年を経た現在では、セレン光電池が発電しなくなった個体も多いのではないかと思う。 セレン光電池が死んでしまったら、百均で売っている安価な電卓に使われているセレン光電池を取り出して、カメラのセレン光電池と入れ換えれば復活させられるかも知れない。 誰かの記事で読んだ記憶がある。

ファインダー

 僕の個体に取り付けられているスクリーンは初代 Canonflex と同じで、フレネル付きマット面の中央部Φ9mmの範囲にはフレネルが無く、中央部Φ5mmにエシェレット格子プリズムが組込まれている。 本当かどうか判らないけど、キヤノンカメラミュージアムの記述によると、3種類のフォーカシングスクリーンを搭載した製品があったらしい。
  • 視野中央5mm円内スプリットイメージ式距離計付き
  • エシェレット格子によるスプリットイメージ式距離計付き
  • 全面特殊フレネルマットスクリーン
この個体はエシェレット格子スプリットイメージである
ファインダー視野
 これらが、カメラを購入する際に選べたのか、生産期間中に変更されたのかは知らないが、僕が持っている Canonflex RM のカタログには「スプリットイメージ距離計内蔵」と書かれていて、別項には直径5mmの円内にエシェレット格子が配列されているとの記載がある。
 Canonflex RP や R2000 では全面特殊フレネルマットスクリーンだったのでコストダウンだろうと思っていたけど、RMにはエシェレット格子が復活したので別の理由がありそうだ。 60年以上前の事情を知る関係者なんて、もういないだろうから調べ様がない。 「3種類のフォーカシングスクリーンの謎」を知ってる人がいたら教えてください。

スクリーン中央部Φ5mm範囲エシェレット格子
RMのエシェレット格子
 エシェレット格子は上下2つの大きなプリズムではなく、上下で向きが異なる20本/mmの細かなプリズムの集合体になっている。 ファインダー中央をよ~く見るとスプリット部に沢山の縦線があるのを確認できる。 この緻密なエシュレット格子に対してフレネルはピッチが荒い(恐らく8本/mmほど)ので少し渦が気になるし、どういう訳かスクリーンの四隅が丸まっているのも気になる。
 なお、ファインダーがアイレベル固定で交換式じゃないので、接眼部にアングルファインダーが取り付けられる様になっている。

ブリーチロック式レンズマウント

ブリーチロック式のR マウント
R マウント
 レンズマウントはブリーチロック式のスピゴットマウントで、マウント装着部の仕様は後のFL・FDレンズと同じだけど、SUPER-CANOMATIC LENS R と命名された自動絞り機能はFL・FDマウントの仕様とは異なる。 SUPER-CANOMATIC LENS R には「絞り開放バネ」と、自動絞りチャージレバーによりバネをチャージする必要がある「絞り込みバネ」とがあり、カメラの巻き上げ操作に連動してカメラがレンズの「絞り込みバネ」をチャージする。 また、チャージレバーの横に瞬間絞り込みを行う「絞り駆動ピン」が設けられていて、レリーズ時に「絞り込みバネ」の緊締を解除する事で瞬間絞り込みが行われる。
 いくら「1/15秒の最高速」と謳われても、チャージレバーと絞り駆動ピンがあるなんて、古臭い自動プリセット絞り方式の様で、シンプルな NIKON F の自動絞り機構と比較したら無駄があると感じてしまう。
 また、Rマウントには絞り値を伝達する機構が無いし、絞りリングはレンズ先端にあるので、外付け露出計はシャッターダイヤルにしか連動できない。 NIKON F の様にマウント付近に絞り環があれば違った展開も考えられるが、ブリーチロック式の締め付けリングが足かせになっただろう。
FDレンズの絞り込みレバーをロックすれば手動絞り込み撮影が出来る
FDレンズを装着可能
 なお、Canonflex にはFDレンズを装着できる。 ただし、自動絞り機構が働かないので、そのまま装着すると絞り開放だけになってしまう。 FDレンズを使って手動絞り込み撮影を行うには、レンズの絞り駆動レバーを絞り込み状態にロックしてから装着する必要がある。 また、FLレンズを使う場合はプリセットリングかA/Mリングで絞り込めばよい。 なお、レンズによっては絞り込み状態にロック出来ないレンズもあるし、全てのFL・FDレンズを装着できるのかは知らない。

交換レンズ

SUPER-CANOMATIC LENS R 50mm 1:1.8 Type-2/3レンズ構成
レンズ構成
 標準レンズとして用意されたのは SUPER-CANOMATIC LENS R 50mm 1:1.8 Type-2(II型)である。 Type-1 では非対称だったレンズ構成が、Type-2では対称性のある4群6枚構成の典型的なダブルガウス型に変更された。 Type-2 の方が非点収差や歪曲収差の補正に有利なハズだけど、Type-1 が非対称な構成にしたのは 50mm F1.8 という仕様でバックフォーカスを確保するため、前群に負パワー持たせてレトロフォーカスっぽくしたかったのだろう。 Type-2 では典型的なダブルガウス型でもバックフォーカスを確保しつつ高性能化できた様だ。 RM 発売の翌年に Type-3 へ切り換えられたけど、Type-2 との違いが何かは判らないし、本機にセットされているレンズが Type-3 なのかも判らない。
 なお、巷では Type-2/3 は酸化トリウム含有硝材を使ったアトムレンズだとの噂があるけど、線量率を測定したら確かにアトムレンズでした。 ただし、分解して測定してみたら Type-1 もアトムレンズだったのは意外だった。 Type-1 の生産本数は少なかったと思われるので、中古市場の R 50mm 1:1.8 は殆どが Type-2/3 だろう。

 Canonflex RM が発売された時には SUPER-CANOMATIC LENS R レンズ群は 35mm F2.5 / 50mm F1.8 / 58mm F1.2 / 85mm F1.8 / 100mm F2 / 135mm F2.5 の5本が揃えられ、半自動絞りの R 200mm F3.5 や実絞り方式の 100mm F3.5 / 135mm F3.5 / 300mm F4 / 400mm F4.5 / 600mm F5.6 / 800mm F8 / 1000mm F11 なども用意されていた。
カタログ掲載の正面写真には古い Type-1 レンズが装着されている
カタログ掲載写真
 でも、広角レンズは SUPER-CANOMATIC LENS R 35mm 1:2.5 だけだった。 ちなみに、 Canonflex RM に古い 50mm 1:1.8 Type-1 が装着されて出荷された事は無いと思うけど、カタログ掲載の写真にはは製造番号的に古い Type-1 末期が装着されている。 この時代には Type-1/2 の存在は明示されていなかったし、昔のカタログ製作部門は細かい事に神経を使わなかった様だ。 掲載写真ミスもある様ですが、交換レンズの種類はキヤノンカメラミュージアムを参照してください。

あとがき

 1950年代初頭にキヤノン初代社長の 御手洗 毅 がベル&ハウエル社との米国輸入販売契約を模索したが、断られたらしい。 結局、キヤノンはCRスキナー社と契約するが、「Made in Occupied Japan / Serviced and Guaranted in San Francisco California」と刻印する事を強要された様だ。
Bell & Howell / Canon Canonflex RM
Bell & Howell / Canon
 その後の1961年にベル&ハウエル社と米国輸入販売契約が締結され、キヤノンとベル&ハウエルの両社の名を冠する製品も生産され、Canonflex RM はその最初の一眼レフ製品だった。 ただし、カッコ良いロゴ刻印じゃなかったのは非常に残念で、東京光学と米国ベセラー社による「Beseler TOPCON」の様な『かっけぇ!』と思えるデザインにしてほしかった。
 Canonflex RM は巻き上げ仕様を一般式に改め、露出計を搭載したことで、黒歴史のカメラとしては売れた方のカメラだった様である。
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