GRAFLEX Crown Graphic 23 - 1947年発売

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GRAFLEX Crown Graphic 23
GRAFLEX Crown Graphic 23
 Crown Graphic 23 はアメリカのグラフレックス社による2x3インチ版木製カメラである。 Speed Graphic 23 からバックシャッターを省略したモデルで、Speed Graphic 23 同様1947年から1958年まで生産された。

GRAFLEX Crown Graphic 23

 Speed Graphic 23 から単純にバックシャッターを省略したのではなく、ボディー本体が薄くなり軽量化されている。 厚ぼったい革張りの木の箱だった Speed Graphic 23 に対してかなり薄い木箱になった。 また、Speed Graphic 23 と同じ様にボディー枠前面にアルミ製トリムを装着して多少の高級感を演出している。 なお、薄くなったボディーに合わせてビューファインダーも短いものが搭載されていて、全体的な造形は Graphic シリーズで最も美しいと感じる。

レンズボード周り

レンズボード周り
レンズボード周り
 レンズボード周りは Speed Graphic 23 と同仕様で、アルミ製のレンズボードを使用する。 なお、SyncroComper No.1 などのシャッターユニットはボード脱着レバーとなどと干渉するので、レンズボードとシャッターユニットの間に2mm厚程度のシムリングを挟む必要がある。
 本体側レールとベッド側レールとがヒンジで接続されているので、本体側レールにレンズを載せたままピント調節が出来る。 これによりバックフォーカスが短い広角レンズが使え、ベッドダウンすれば(ピント調節範囲は少なくなるが)画面下側がケラレる事が無い。 これはリンホフにも無い利点なのだが、本体箱側レールは短いのでレンズ台座がぐら付いて不安定なのが残念だ。 でも、バックシャッターが無いので Speed Graphic 23 より薄いことから、短い焦点距離のレンズも使える利点がある。

カメラバックシステム

カメラバックシステム
カメラバック
 カメラバックは「グラフロック」仕様なので、ピントグラスユニットからロールフィルムホルダーへの交換が楽である。 ロールフィルムホルダー背面に“23”と書かれているのが6x9cm版で120フィルムで8駒の撮影ができる。 ただし、“23”と書かれていても6x9cm版ではなく6x8cm版もあるので確認が必要だ。 他にも“22”と書かれた6X7cm版もあったりする。 また、事実上の国際規格であるグラフロック仕様なので他社のロールフィルムホルダーも装着できる。
ロールフィルムホルダー操作
ロールフィルムホルダー
 フィルム装填・巻き上げは、ロールフィルムホルダー中枠の巻き取りスプールにフィルムの裏紙を一周以上巻き付けて、裏紙のスタートマークと中枠の矢印が合うまで巻き上げたら、中枠を背蓋に戻して蓋を閉め、上部のカウンターを「S」位置にセットしてから巻き上げノブをグルグル回せば最初のコマで自動的に巻き止めされるセミオートマット式になっている。 1駒撮影したら巻き止めを解除して巻き上げノブを回せば次の駒で巻き止めされる。 "23"であれば8駒撮影し終えたら巻き止めがフリーになるのでグルグル回して最後まで巻き取る。

レリーズボタン

レリーズボタン
レリーズボタン
 Speed Graphic 23 同様、カメラ右側面下部にレリーズボタンが設けられ、レンズシャッターを操作する事が出来る。 レンズシャッターまではケーブルでつながっているので、遊びを含めてレリーズボタンのストロークはかなり深い。 また、レリーズボタン脇にはネジソケットがあり、ケーブルレリーズが装着できる様になっている。
 なお、Crown Graphic にはバックシャッターが無いのでカメラ本体にバックシャッターのシンクロ接点は無い。

距離計

カラート社製の距離計
カラート社製の距離計
 カメラの右横に先代と同じカラート社製の距離計が備わっていて、レールの前後動をアームを介して角度に変換して距離計ミラーを回している。 この距離計はカバーを外して 繰出しパラメータ(焦点距離)調整 や 二重像横ズレ調整 などを行う事が可能で、使用する標準レンズ(100mm、101mm、105mmなど)に応じて予め調整しておく必要がある。 あまり頻繁に調整を繰り返すと、カバーを止めている木ネジの穴がバカ穴になるので木工用ボンドなどで補強した方が良い。
 僕のカメラは距離計上部の豆電球内蔵の照明装置は外してあるので、蓋を回転スライドしてレーザーポインタで照射してみると、意外と高精度にピントを合わせられる事が判る。 なお、無限遠の微調整だけなら距離計カバーを外さなくても調整可能で、レールを目一杯繰り出して距離計アームとの「当たり」を調節する偏芯コロを回せば微調整出来る。

標準レンズ

Ektar 101mm F4.5(左) / Xenotar 80mm F2.8(中) / Heligon 95mm F2.8(右)
Ektar(左) / Xenotar(中) / Heligon(右)
 カメラの標準レンズは Graflex Optar 101mm F4.5 や Kodak Ektar 101mm F4.5 や Kodak Ektar 105mm F3.7 などが用意されていた様で、ボディのレリーズボタンでシャッターを切る事が出来る。 「Ektar」という名称はレンズタイプを表しているのではなく、コダックが定めた「高性能」レンズに対して「Ektar」という称号が与えられるらしい。 なので、3枚構成のEktarがあったり7枚構成のEktarがあったりする。 でも、僕のお気に入りレンズは Heligon 95mm F2.8 や Xenotar 80mm F2.8 などである。

あとがき

 「スピグラ」に代表される Speed Graphic があまりにも有名なので、マニアからは Crown Graphic は興味の対象になっていない様だ。 でも、レンズシャッターで実使用するのであれば、薄くて軽くてボディーでシャッターが切れる Crown Graphic の方がお勧めだし、Speed Graphic より美しい容姿だと思う。 困ったことに、気が付いたら Graphic 23 シリーズカメラが6台も集まってしまっていた...ちょっと邪魔だなぁ。

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