GRAFLEX Century Graphic 23 - 1949年発売

0

GRAFLEX Century Graphic 23
GRAFLEX Century Graphic 23
 Century Graphic 23 はアメリカのグラフレックス社による2x3インチ版プラスチック製カメラで、Crown Graphic 23 のボディをプラスチックにしたモデルである。 Graphic 23 シリーズで最も廉価なカメラで1949年から1970年まで長く生産された。

GRAFLEX Century Graphic 23

 これまでグラフレックスのカメラは木製カメラ(Wooden Camera)で、クラシックカメラ然としていたけど、本体箱がプラスチックになって Crown Graphic 23 より重量が200g軽くなったけど魅力も軽くなってしまった。 また、貼革がグレイの合成貼革に変更されたので、モロッコ革の様に縮むことはないが少し安っぽいし、カメラ左側のハンドストラップもビニール製になってしまった。 遠目に眺めるだけなら木製とプラ製との違いは判らないので飾っておくのも良いし、実際に使い込むのも良いだろう。 

レンズボード周り

レンズボード周り
レンズボード周り
 カメラの前蓋を開けてレンズボードをレール上に引き出して固定する。 距離計を調整しておき、無限遠設定用のストッパーを用いれば距離計との連動も可能だ。 なお、レンズボードやティルト・シフト機能はは Speed Graphic 23 / Crown Graphic 23 と同様のアルミ製レンズボードだが、ボディー側レリーズボタンは装備されていない。
 本体側レールとベッド側レールとがヒンジで接続されているので、本体側レールにレンズを載せたままピント調節が出来る。 これによりバックフォーカスが短い広角レンズが使え、ベッドダウンすれば(ピント調節範囲は少なくなるが)画面下側がケラレる事が無い。 これはリンホフにも無い利点なのだが、本体箱側レールは短いのでレンズ台座がぐら付いて不安定なのが残念だ。 でも、バックシャッターが無いので Speed Graphic 23 より薄いことから、より短い焦点距離のレンズを使える利点がある。

カメラバックシステム

カメラバックシステム
カメラバック
 カメラバックは「グラフロック」仕様なので、ピントグラスユニットからロールフィルムホルダーへの交換が楽である。 ロールフィルムホルダー背面に“23”と書かれているのが6x9cm版で120フィルムで8駒の撮影ができる。 ただし、“23”と書かれていても6x9cm版ではなく6x8cm版もあるので確認が必要だ。 他にも“22”と書かれた6X7cm版もあったりする。 また、事実上の国際規格であるグラフロック仕様なので他社のロールフィルムホルダーも装着できる。
ロールフィルムホルダー操作
ロールフィルムホルダー
 フィルム装填・巻き上げは、ロールフィルムホルダー中枠の巻き取りスプールにフィルムの裏紙を一周以上巻き付けて、裏紙のスタートマークと中枠の矢印が合うまで巻き上げたら、中枠を背蓋に戻して蓋を閉め、上部のカウンターを「S」位置にセットしてから巻き上げノブをグルグル回せば最初のコマで自動的に巻き止めされるセミオートマット式になっている。 1駒撮影したら巻き止めを解除して巻き上げノブを回せば次の駒で巻き止めされる。 "23"であれば8駒撮影し終えたら巻き止めがフリーになるのでグルグル回して最後まで巻き取る。
 ちなみに、ビューファインダーは Speed Graphic 23 用の長いタイプを使った方がロールフィルムホルダーを装着していても覗きやすい。

距離計

カラート社製の距離計
カラート社製の距離計
 カメラの右横に他モデルと同じカラート社製の距離計が備わっていて、レールの前後動をアームを介して角度に変換して距離計ミラーを回している。 この距離計はカバーを外して 繰出しパラメータ(焦点距離)調整 や 二重像横ズレ調整 などを行う事が可能で、使用する標準レンズ(100mm、101mm、105mmなど)に応じて予め調整しておく必要がある。 なお、無限遠の微調整だけなら距離計カバーを外さなくても調整可能で、レールを目一杯繰り出して距離計アームとの「当たり」を調節する偏芯コロを回せば微調整出来る。 ちなみに、焦点距離が80mmであればぎりぎり距離計の調整が可能で、距離スケール板も80mm用を着けている。

使用レンズ

Schneider-Kreuznach社製 Xenotar 80mm F2.8
Xenotar 80mm F2.8
 標準レンズは Kodak Ektar 101mm F4.5 や Ektar 105mm F3.7 や Graflex Optar 101mm F4.5 や Graflar 101mm F4.5 や Trioptar 103mm F4.5 などが用意されていた様だ。
 僕のお気に入りレンズは Schneider-Kreuznach社製の Xenotar 80mm F2.8 なので、このカメラの距離計は Xenotar 80mm F2.8 に合わせてある。 また、Xenotar 80mm F2.8 はレンズを装着したまま前蓋を閉められるのでシステム的な相性も良い。 ただし、レンズの仕様ではイメージサークルが6x9cm版をカバーしていないので、6x6cm版や6x7cm版で使うべきレンズである。

あとがき

 Century Graphic は1949年から1970年まで長く作られたので、安くて程度が良い中古が多くあると思われ、フィールドカメラの入門機としてお勧めの一台だ。 困ったことに、気が付いたら Graphic 23 シリーズ4モデルが都合6台も集まってしまっていた...ちょっと邪魔だなぁ。


Sponsored Link
Sponsored Link

0 件のコメント :

コメントを投稿

Sponsored Link