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LEICA M6 + コシナ製レンズ |
LEICA M4 デザインのカメラに露出計を内蔵し、1997年まで長く生産されたので「
最も売れた最も感触が悪いライカ」と評されているらしい。 僕は他のM型ライカを持っていないので何処の感触が悪いのか良く判っていない。 M6シリーズとしては2002年まで生産され、その間に M6LHSA / M6プラチナ / M6ブルネイ王国記念モデル / M6パンダ / M6コロンボ'92 / M6G / M6SH / M6チタン / M6香港シュミット鳥マーク入り / M6J / M6 0.85 / M6TTL / M6TTL LHSA / M6TTL 2000 / M6TTL JAPAN などの派生機・限定機・特注機・記念機が作られている。
LEICA M6
ライカの経営は LEICA M4 までは順調だった気がするけど、一眼レフでは日本の製品に席巻されてしまい、「弁当箱ライカ」と揶揄された LEICA M5 を生産していた時期は経営的に傾いていた頃だ。 1974年にスイスのウィルド社に株式を買収されたことで、後にライツ一族は経営権を失っている。 ミノルタとの提携などを行いつつ、批判が多かった LEICA M5 に対してデザインを LEICA M4 戻した LEICA M6 を発売したのである。
ドイツのウェツラー工場は1975年には閉鎖されていたらしく、LEICA CL や LEICA M4-2 や LEICA M4-P はドイツ製ではなかったけど、LEICA M6 からドイツ製が復活した。 ただ、経営権はライツ一族ではなくなったので、カメラのロゴマークが「 Leitz 」から「 Leica 」に変更された様だ。 また、LEICA M6 の初期品は「 Leitz 」だったのでウィルド社から文句を付けられたのかも知れない。
カメラ正面
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カメラ正面 |
向かって右上側から ファインダー窓 / ブライトフレーム採光窓 / 赤バッチ / 距離計窓 で、LEICA M6 文字ロゴ下の小さなレバーは巻き戻し設定レバーである。
当然マウントはライカMマウントで、マウント内上部に距離計連動コロが見える。 シャッターは布幕横走りで、後幕には無いが先幕中央には白●が印刷されている。 マウント左横の赤〇が付いたボタンはレンズロック解除ボタンで、ボタンを押しながらレンズを回せば外れる。 ライカMマウントには連動距離計があるので爪部を大きく回転させられなかったためか、脱着回転角が異常に小さいので心配になる。 見えないけど向かってマウント右側爪の裏に視野枠切換フックがあり、レンズ側の爪の長さで自動的に視野枠が切り換わる。 ファインダー窓の下にあるフレーム切換えレバーでフレームを切り換えられ、レバーから指を離せば装着レンズに応じた状態に戻る。 ついついフレームを切り換えて遊んでしまう。
レンズロック解除ボタンの左下方にある黒丸の蓋は露出計用の電池蓋で、LEICA M4 等ではセルフタイマーがあった部分だ。 カメラを使う場合に何かと右手中指が当たるので、蓋のペイントや張革がはがれ易い。 露出計用の電池はSR44×2個である。
カメラ上面
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カメラ上面 |
右側から フィルムカウンター / 巻き上げレバーとシャッターボタン / シャッターダイヤル / ホットシュー / 巻き戻しクランク である。 古いライカ製品では広いカメラ上面に筆記体で大きく「
Leica」とか「
Leitz」と刻まれていたけど、LEICA M6 は単なる平野なので寂しい感じがする。
シャッターダイヤルは倍数系列で1/1000秒とBulbが突き当てになっているので、乗り越えて変更する事は出来ない。 1/60秒と1/30秒の間に⚡の同調速度があり1/50秒となっている。
フィルム巻き上げ・シャッターチャージのときにレバー操作の最後あたりで「ガチョッ」という抵抗があるけど、これが「感触が悪い」というなら重箱の隅だと思う。 なお、小刻み巻き上げも可能になっている。
カメラ背面
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カメラ背面 |
左側にファインダー接眼部 があり、眼鏡に傷が付きにくい様に見口はゴムリングになっている。 確か視度調整用レンズを装着出来たと記憶している。
ホットシュー下部にシンクロターミナル(写真では黒キャップを付けている)がある。
露出計が内蔵されたので背面のフィルムインジケータはちゃんとした感度設定ダイヤルとなった。 そのため、背面ドア内には電気接点も設けられ、厚みも若干増した様だ。
フィルム装填
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フィルム装填 |
LEICA M6 も底蓋を外してフィルム装填する方式だけれど、スプールを取り出してベロを挟む必要はない。
カメラをでんぐり返して底蓋を外し、背面ドア(圧板)を開けてからフィルムのベロ先をスプールの三裂溝に落とし込むだけで良い。 フィルムのパーフォレーションがスプロケットにハマっていることを確認して、背面ドアを押し閉めながら底蓋を元に戻し、フィルムカウンターが1になるまでカラ送りすれば装填終了だ。 昔のライカに比べてフィルム装填が随分と楽になった。
なお、底蓋を単三×4本の LEICA WINDER M や CR123A×2本の LEICA MOTOR M に交換すれば電動巻き上げで「騒々しく」使う事が可能になる。
測光システム
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フィルム面を睨むセンサー |
測光システムはマウント内上部の距離計コロを避ける位置に集光レンズ付き測光用SPDセンサーがフィルム面を睨んでいる。 シャッター先幕中央にΦ12mmの白〇の反射マークがあり、その反射光を測るスポット測光方式である。 レリーズボタン半押しで露出計がスタートし、レリーズボタンから指を離しても11秒間ほど測光が継続する。 なお、シャッターをチャージしないと測光反射マークが出てないので露出計の電源は入らない。 カメラ保管時はシャッターをチャージしないで保管すれば電池液漏れの心配はないだろう。
測光状態はファインダー内下方に赤い▶◀LEDで表示され、両方のLEDが同等に点灯している場合が適正露出なる。 点灯している▶か◀のLEDで適正露出にする絞りを回す方向が判るけど、シャッター速度リングを回す方向とは逆だと感じる...僕はね。 このLED表示は見やすいけれどアナログ感を味わえる様な工夫が欲しかったのと、Leitz minolta CL にすらあるシャッター速度表示も欲しかった。
ファインダー視野
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ファインダー視野(0.72倍) |
ファインダー倍率は0.72倍で後に0.85倍製品も発売された。 また、LEICA M7 では0.85倍か0.72倍か0.58倍の製品を選択できた。 0.72倍の製品は6種類のフレームがあり、対応レンズが多い。 製品仕様と表示フレームは以下の通りである。
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0.85倍 製品 |
0.72倍 製品 |
0.58倍 製品(M7) |
有効基線長 |
58.86mm |
49.86mm |
40.17mm |
切換え0 |
35 & 135mm |
35 & 135mm |
35mm |
切換え1 |
50 & 75mm |
50 & 75mm | 50 & 75mm |
切換え2 |
90mm |
28 & 90mm |
28 & 90mm |
0.72倍ファインダーだと28mmフレームは眼をぐるりと回さないと見渡せないので、主に28mmレンズを使う人なら0.58倍ファインダー(M7で選択可能)が使い易いだろう。 逆に50mmレンズがメインの人は0.85倍ファインダーの方が大きく見えるので自然な感じで使えると思う。
視野フレームには Leitz minolta CL と違って焦点距離が表示されないのは不親切だけど、小姑の様なユーザーから『うっとおしい焦点距離表示は止めて元に戻せ!』と言われるから表示しないのだろう。 また、28mmや35mmなどのフレームは四隅が省略されているのも気に喰わない。 やっぱり四隅は表示して欲しいと思う。
距離計部分はキレのある実像式なので上下合致式にも使える。 ただ、半逆光のシーンでは迷光が距離計光学系に入り込んで二重像が真っ白になる場合があり、ピント合わせが出来なくなる。 眼を少し振れば二重像を視認できる場所があったりするけど、これは大きな問題...イヤ、欠陥だ。 確か関東カメラサービスで迷光対策として距離計光学系にハレ切りパイプを入れる改造を実施していたと記憶している。
露出計の▶◀LEDはファインダー下方の35mmフレーム付近に表示され、28mmレンズの時は完全に視野フレーム内なのでちょっとうっとおしい。 また、測光結果に関係なく「力強く」発光するので明るい屋外でも良く見えるが、暗いシーンでは眩しすぎる。 普通なら測光結果や露出量に応じで輝度を制御する様に設計するけど、レンズの絞り状態が判らないシステムなので致し方ないとしても、高級カメラでLEDを使うなら外光の明るさに応じて輝度変調させる工夫が欲しかった。
コシナ製交換レンズ
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コシナ製レンズ |
ライカ純正の交換レンズは高価すぎて一般庶民には買えなかったので、コシナの 21mm F4 / 35mm F1.7 / 75mm F2.5 を買って楽しんでいた。 コシナ製レンズはライカ純正レンズに対してべらぼうに安く買う事ができ、シルバーの LEICA M6 に合わせてシルバーの鏡筒をチョイスしていたけど、本体とは色味が異なるのでブラック鏡筒の方がカッコイイかも知れない。
この時代のライカ純正レンズの描写がどうだったのかは判らないけど、コシナ製レンズの描写は「ちゃんと」残存収差があってオールドレンズっぽさを楽しめたが、今では安かろう悪かろうの典型通りに3本とも接合面が曇って使い物にならないゴミになった。 もし、今買うなら高性能な最新の中華製レンズの方が良いだろう。
あとがき
当初、LEICA M6 を買うつもりは無かったんだけど、共〇通信社の記者が LEICA M6 を取り出して『こういう滑らかな操作性のカメラを使いたいんだよぉ』と自慢げにのたまうので、実際に僕も買って試してみたのである。 その後に再び会う機会があり、当時の話をしたら『オレ、そんなこと言ったっけ?』だってさぁ。
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