Shooting a Figure Skating with SONY A9 | α9でフィギュアスケート撮影

SONY ILCE-9 + FE 100-400mm F4.5-5.6 GM OSS
SONY ILCE-9 + FE 100-400mm F4.5-5.6 GM OSS でも撮れてる駒はある

SONY α9 の衝撃

氷上の SONY α9 と FE 100-400mm
SONY α9 の発売前にレビューサイトなどで見せられたフィギュアスケート写真が印象的だった。 正確なカメラ設定が判らないけど、ISO:1250なのに多めのノイズや明るいアリーナなのにぬるいピントには本当に衝撃が走った。 それでも購入に踏み切ったのは「無音撮影」という一点の機能だけだった。 観客や選手に迷惑を掛けない「無音撮影」機能だけが私にとってのゲームチャンジャーだったと言えるだろう。

さて、SONY α9 を買った時点ではスポーツ撮影が出来る様なレンズは持って無かったけど、FE 100-400mm F4.5-5.6 GM OSS を発売日に入手(何で同時発売じゃなかったのか未だに疑問)してフィギュアスケート撮影に実戦投入してみた感想をまとめておく。

ちなみに販売店などのレビューサイトでは買って貰う事が主眼の様で、イイ事しか書かれてないので実際の性能は自分で使ってみるしかない。

SONY α9 + FE 100-400mm F4.5-5.6 GM OSS での作法

SONY α9 と FE 100-400mm F4.5-5.6 GM OSS との組合せでスポーツを撮影するには、色々と作法がある事に気が付いた。

(1)撮影中にズーミングしてはいけない
(2)顔検出を信頼してはいけない
(3)瞳AFを使ってはいけない
(4)AWBを使ってはいけない
(5)フォーカスホールド釦を使ってはいけない
ほか色々...

他にも困った事が沢山あるけど、しょっぱいカメラで撮影する醍醐味だと思って楽しんでいる。

撮影中にズーミングしてはいけない

この記事でも書いたけど、FE 100-400mm F4.5-5.6 GM OSS はコンピューテーショナルズームである。 ズーム操作に伴うピント変動を電動の補正レンズを適切に移動させる事でピント位置がズレない様にしている。 撮影対象が動体である場合、AF-Cで撮影するけど、カメラと被写体との相対距離が変化している最中にズーミングしてしまうと、被写体追従の合焦駆動とズームによる補正駆動とがバッティングしていまいピントが吹っ飛んでしまう。
AF駆動中は極力ズームさせないで、単焦点レンズのつもりで撮影した方が良い。 被写体が近いからといってAFさせながらワイドにズームしたりすると全くピントが合わないので、クローズアップ写真を撮影するんだと割り切った方が良いかもしれない。

顔検出を信頼してはいけない

先にも書いたけど、FE 100-400mm はズームレンズだけど、単焦点レンズ風に使わないとピントを合せられない。 ところが、これだとフレーミングに合せた測距点を移動させるのが大変なのだ。 そこで、釦カスタマイズにより「拡張フレキシブルスポットM」と「ロックオンAF」を使い分けられる様にしている。 選手の顔にピントを合せたい場合が殆どなので「顔検出」機能を使っている。 ただし、SONY の顔検出に対する味付けはフィギュアスケート撮影には“やっかい”で、信頼しちゃいけない。

フィギュアスケートは後ろ向きに滑る事が多いしクルクル回ったりする。 そうすると、カメラは選手の顔を見失った途端に別の顔...例えば背景に見える観客の顔にピントが喰らい付く大馬鹿者なんです。 この件もこの記事で取りあげた。

こんな場合はボタンカスタマイズを使って、咄嗟に「ロックオンAF」から「拡張フレキシブルスポットM」に切換えて、ピントを選手へ誘導している。
SONY α9 では、こんな事は茶飯事に起こる
選手が長い時間後ろ向きで近付いて来る場合は、AFさせておかなきゃならないしズームは出来ないし顔検出はさせられないし...と、極度の緊張を味わえる。 そして、『あぁっ、そこで後ろ向きに!』という場合は上写真の様に観客に喰らい付いてしまう。 ちなみに、「ロックオンAF」だけでなく「拡張フレキシブルスポットM」であっても測距枠に接する背景顔に喰らい付く場合もあるので注意を要する。
顔を検出するという機能としては「信用出来る」けど、主被写体を追尾する機能としては「信頼出来ない」というのが SONY α9 だなぁ。

瞳AFを使ってはいけない

先に書いた顔検出・追尾は主顔を見失うと別顔に喰らい付いて困るっていう話だったけど、瞳AFは顔・眼を検出しないと合焦動作をしてくれないのでフィギュアスケートでは全く使えない。 本田真凛ちゃんならカメラ席への流し眼が上手いので瞳検出の成功確率が高いだろうけど、基本的に瞳AFはポートレート撮影などで使うものだ。

AWBを使ってはいけない

この理由は二つある。 一つは、想像以上に SONY の AWBが妙だと言う事。 キヤノン機やニコン機がAWBで普通に綺麗に仕上がるアリーナでも SONY α9 では妙な色味に仕上がるんだなぁ。 「ホワイト優先」にしてもやっぱり妙な色味になる。 普通、氷が多いアイスアリーナだと妙な色味になる事は少ない(真駒内は「雰囲気優先」だと赤くなる)んだけど、SONY α9 はダメなんです。
これは室内撮影だけでなく、植物の緑が多い場所で人物撮影するとゾンビの様な肌色に仕上げてくれる。 キヤノン機などでは赤外線も計測して蛍光灯や植物の緑などを検知してホワイトバランスしてくれるんだけど、ソニー機ではそんな気の利いた事はしていない様だ...ミラーレスカメラだから赤外線検知してないしね。
SONY α9 で撮影する場合は、可能なら事前にカスタムホワイトバランスを設定するか、RAWも記録しておくべきである。

そして、二つめはEVFのホワイトバランスである。 デジタルカメラではカメラを下に向けて背面パネルで撮影画像を確認するのが普通だけど、SONY α9 のスポーツ撮影ではこの動作が超やばい。 例えAWBで撮影出来る条件だったとしても、ビックリするのでAWBは止めた方が良い。 カメラを下に向けて画像確認してるとき、足元のカーペットが真っ青だったりすると再生中なのにAWBしちゃってる様で『選手が来たから次の撮影だ!』と思ってカメラを構えてEVFを覗くと画面が真っ赤になっている。 しかもAF中やレリーズ半押し中はず~と赤いままで、AF釦やレリーズ釦から指を話すと「じわじわ」とカラーバランスがマトモになって行く。 ファインダーが真っ赤なので撮りたくても躊躇しちゃうんだけど、『RAWだからかまわねぇ』と思って撮影してみると、撮影画像のホワイトバランスはいつも通りに仕上がっていたりする。 ファインダーで見えてる画像と実際に撮れる画像が全く違うのは如何な仕様だし、カスタムホワイトバランスだとこの様な現象は起こらないし、AF設定がAF-Sだと大丈夫だゾ。 これはバグだよねぇ?

フォーカスホールド釦を使ってはいけない

これもこの記事で書いたけど、レンズをホールドする手が支える絶妙な部分にフォーカスホールド釦(下側)がある。 三脚座を下向きに付けたままなら釦がオンしちゃう事はないけど、手持ち撮影が普通のスポーツ撮影だと三脚座を外したり上側に回したりしてレンズをしっかりホールドするのが普通。 そうすると、意図せずフォーカスホールド釦がオンになってしまい、選手にピントが合わなくてパニックになる事がたびたびある。 今ではフォーカスホールド釦を使わない設定にしてしまいました。

まとめ

さて、色々と文句を書き連ねたけど、SONY α9 でならしょっぱいカメラを操る醍醐味が楽しめるし、観客や選手に迷惑を掛けない「無音撮影」機能が使える。 ぬるピンが多かったり撮り逃がす事もあるけど、現時点でもちゃんとした写真が撮れる事だってあるし、被写体やシーンによっては CANON EOS-1DX Mark II や NIKON D5 と遜色無く(多分)撮影出来る。
今後のファームアップなどで改善可能な機能も多々あるハズなので、期待しないで待つつもりだ。

撮影例

100-400mm F4.5-5.6 GM OSS ISO:10000 F:5.6 Tv:1/800s WB:Custom
100-400mm F4.5-5.6 GM OSS ISO:10000 F:5.6 Tv:1/800s WB:Custom

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