minolta SR-1s - 廉価版フルマニュアルシリーズ最終機

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minolta SR-1s(左)と minolta SR-T 101(右)
minolta SR-1s
 minolta SR-1s は New SR-1 から受け継いだ都会の小顔美人風のデザインで、露出計すら搭載しないカメラだけど、上位機 minolta SR-T 101 の機能も取り入れたカメラである。

minolta SR-1s - 1967年発売

 SR-1 シリーズは露出計を内蔵しないフルマニュアル廉価版一眼レフカメラで、上級機である minolta SR-2 からシャッター最高速を1/500秒にスペックダウンさせた機種だったけど、シリーズ最終機の minolta SR-1s は1/1000秒のシャッターユニットを搭載して有終の美を飾った。
 ボディーのダイカストは New SR-1 / New SR7 や SR-T 101 などと共通で、New SR-1 の秀逸なデザインを引き継いでシャッターユニットを1/1000秒シャッターに変更した仕様で、SR-T 101 の廉価版という位置付けだった。
 1965年以降の発売で露出計を搭載していない一眼レフカメラは minolta New SR-1(1965年)や Nikomat FS(1965年)や PENTAX SL(1968年)などがあり、minolta SR-1s(1967年)がミノルタ最後のフルマニュアル一眼レフになった。 なお、minolta SR-1s の発売時期は開放測光に対応した MC ROKKOR時代 だったので、標準セットレンズは MC ROKKOR 1:1.7 f=55mm だった。

SR-1 シリーズの変遷

 SR-1 シリーズはモデル名が同じでも様々なバリエーションが存在し、僕が知っているだけでも以下の様なタイプがある。 全タイプを触ったことがある訳じゃないので、間違っているかも知れません。m(_ _)m
Type発売年SR-1 各タイプの特徴
Type-11959年SR-1 シリーズの初期モデルである。
シャッターダイヤルは不等間隔の持ち上げ設定方式で、絞りは巻き上げで開放に戻る半自動絞り機構だった。
ボディーのダイカストには SR-2 と浮彫があるので、シャッターだけが SR-2 と異なるのだろう。
Type-21960年内部機構が一新され、シャッターダイヤルが等間隔のクリック式になった。
Type-31961年完全自動絞りになり、連動露出計用ソケットが設けられた。
ソケット装備により、SR-1刻印ロゴが左側へ移動した。
若草色の SR-1 刻印ロゴが、途中で黒色に変更された。
(SR-1刻印が細いので、照明の具合で若草色だと気付かない)
Type-41963年外観が SR-7 と同じダイカスト採用で、角ばった容姿に変更された。
フィルムカウンターが巻き上げ側へ移り、四角窓になった。
しゃくり上げ方式の大型ミラーとなった。
シャッターの黄色いLV刻印がなくなった。
会社名刻印が「CHIYODA KOGAKU」から「MINOLTA CAMERA CO. LTD.」へ変更された。(一部「CHIYODA KOGAKU」もある様だ)
ギラギラしたシルバーのメッキが、落ち着いた梨地メッキになった。
Type-51965年New SR-1 と呼ばれるけど、カメラには「SR-1」刻印のみ。
ダイカストは SR-T と同じものを使って小型化され、小顔でキュートなカメラになり、ファインダー見口が四角くなった。 また、ミラーアップ機能が追加されている。
連動露出計用ソケットが新タイプに変更され旧露出計とは互換無し。
SR-1s1967年SR-1 シリーズの最終モデルである。
Type-5 に1/1000秒シャッターを搭載して、巻き上げレバーにプラ製の指当てが付いて、予備角20度付きで巻き上げ角が150度になり、名称に「s」を付けて SR-1s となった。 TTL開放測光機である SR-T 101 の廉価版という位置付けだった。
SR-1s には前期型と後期型があり、シャッターダイヤルローレット形状やフィルムスプール構造などが異なる。

 ミノルタは製品改良に熱心だったけど、製品仕様だけでなく外観が変わっても SR-1 というモデル名で継続販売されていて、些細な変更・修正はもっとあっただろう。

 ちなみに僕の昔の記憶によると、1970年発売の minolta SR-M は minolta SR-1s からセルフタイマーと露出計ソケットを省いて、モータードライブを括り付けた黒塗りカメラ だと思っていたけど、最近になって調べてみるとアクセサリーシューが括り付けになっていて、上カバーのデザインも違うというのが判った。 でも、プレビューボタンが無いので、やはり SR-1シリーズの末裔だと言えるだろう。

主要諸元

 上位機 SR-T 101 と、その普及版でSR-1シリーズ最後の SR-1s の主要諸元を比較してみた。
項目minolta SR-T 101 諸元minolta SR-1s 諸元
型式35mmフォーカルプレーンシャッター式一眼レフカメラ
発売年1966年1967年
レンズマウントミノルタSRマウント
シャッター機械式横走り布幕フォーカルプレーンシャッター
シャッタースピードB、1秒〜1/1000秒(Xは1/60秒)等間隔クリック仕様
巻き上げ操作  巻き上げ角:約150度
    予備角:約20度
小刻み巻き上げ:可能
ミラーアップ機能あり
プレビュー機能ありなし
露出計CLC式TTL開放測光露出計内蔵
測光範囲:EV3~17(ASA100)
使用電池:MR9型水銀電池 1個
外付け式 SR METER S 装着可
測光範囲:EV2~18(ASA100)
使用電池:MR9型水銀電池 1個
ファインダー視野率約 縦92% / 横94%
フレネル付き中央マイクロプリズム+マット式スクリーン
ファインダー内表示右側:追針式露出計メーター
下側:シャッター速度スケール
なし
アクセサリーシュー括り付けアクセサリーシュー脱着式アクセサリーシュー
大きさ(幅×高×厚)約 145 × 94.5 × 47.5 mm約 145 × 88.5 × 47.5 mm
重さ約 705 g(ボディのみ)約 600 g(ボディのみ)

SR-T 101 にはブラックがあるけど、SR-1s にはブラックが無い
ST-T 101 & SR-1s カタログ
 なお、minolta SR-1s には前期型と後期型があり、巻き上げスプール構造やシャッターダイヤル形状に違いがある。 この特徴から判断すると、本機は1970年以降に製造された後期型である。 また、カタログには SR-T 101 のブラックは¥1,000円アップの価格設定だったけど、 SR-1s にはブラックの価格設定が無い。 New SR-1 までのブラックは稀~に見かけるけど、SR-1s のブラックは見た事が無いので、恐らくブラックは製品化されなかったのだろう。

SR-1s の巻き上げレバー

巻き上げレバーにプラ製の指当てが付いたが、デザインがスマートじゃない
巻き上げレバー
 SR-1シリーズ最初で最後のプラスチック製指当てが付き巻き上げレバーになった。 ただ、この指当てプラパーツはスマートな形状じゃないのが残念だ。 軸側に向かって薄くするなど、もっと自然に馴染む様な指当て形状にして欲しかった。 New SR-1(Type-5)と同じ美しい容姿なのに、この巻き上げレバーはちょっと興ざめする...僕はね。

 また、New SR-1(Type-5)までは巻き上げ角が約180度と大きくて予備角も無かったけど、SR-1s では巻き上げ角が約150度と小さくなり、約20°の予備角が設けられたので、素早い巻き上げに貢献している。 恐らく、巻き上げ機構は SR-T 101 と同じなのだろう。 僕好みな New SR-1(Type-5)の巻き上げレバーに交換しようと思ったけど、予備角が備わった影響で軸部分のインターフェースが変わっていたので諦めた。

 ちなみに、New SR-1(Type-5)のレリーズ音に対して、SR-1s のレリーズ音は甲高い音に変化している。 恐らく、1/1000秒のシャッターを搭載したので、シャッター幕のテンションが強くなった影響だと思うけど、1/1000秒シャッター搭載の New SR-7 より甲高いのは、シャッターユニットが違うのか個体差なのかは判らない。 精密機器感を損なっている残響音が少し残念だ。

後期型の巻き上げスプール

後期型では灰色で4枚の押さえ板に先端を挟む方式に変更された
後期型の巻き上げスプール
 これまでの SR シリーズの巻き上げスプールは、スリットにフィルム先端を差し込む方式で、フィルムを装填し難かった。 前期型までは黒いスプールにフィルム先端を差し込むスリットが1本だけで、暗がりだと『どこどこどこ?』と、判り難かった。 後期型ではスプールに灰色で4枚のフィルム押さえ板が装備され、フィルムの装填が少し容易になった。 この変更も、SR-T 101 の後期型と同じタイミングで変更されたと思われる。

後期型のシャッターダイヤル

後期型では荒いブロックパターンへ変更された
後期型のシャッターダイヤル
 前期型ではシャッターダイヤルの滑り止めが細かい縦溝だったけど、後期型では荒いブロックパターンへ変更された。 恐らく、SR-T 101 の後期型と同じタイミングで変更されたと思われる。 操作性に大きな違いは無いけど、荒いブロックパターンの方が見た目の感じが良いし、手垢などのゴミなどが詰まり難い。 ちなみに、New SR-1(SR-1 Type-5)まではシャッターダイヤルが止まることなくクルクル回せたけど、SR-1s のシャッターダイヤルはBと1000で突きあたる様になっている。

アクセサリーシュー

クセサリーシューは上から差し込む方式
脱着式アクセサリーシュー
 ミノルタの一眼レフは SR-T 101 が発売されるまで、アクセサリーシューはアイピース部に別付けする方式を採用していた。 外観デザインが大きく変わった New SR-1 から四角いアイピースになったので、アクセサリーシューを上から差し込む方式のタイプに変更されたけど、SR-1s でも未だに別付けアクセサリーシュー方式にしたのは、秀逸なカメラデザインを損ねたくなかったのだろう。
 新タイプのアクセサリーシューはカメラ接眼窓上部のピンでロックされ、シューの後部にロック解除釦がある。 また、シュー前部裏側にはキズ防止の小さなモルトが貼ってあり、良く出来た作りのアクセサリーシューだ。 60年以上昔の製品なので、アクセサリーシュー裏のロック用フックの可動部には極少量だけ注油しておいた方が良い。 動きが渋くなるとロック解除釦への負荷が大きくなりボタンが破損したりするだろう。

外付け露出計 SR METER S

SR METER S を装着した minolta SR-1s
SR METER S を装着した minolta SR-1s
 露出計を内蔵した minolta SR-T 101 の現金正価は¥47,300円だったけど、minolta SR-1s と SR METER S の合計現金正価は¥41,350円(¥37,000円+¥4,350円)だったので、その差は¥5,950円もあった。 1967年の大卒初任給は¥25,000円ほどなので、SR-1sと SR METER S の組み合わせは『TTL露出計でなくても良い』という一般人には魅力的な価格だっただろう。 SR METER S の使い方は minolta New SR-1 の記事を参照してください。
 なお、SR METER S の測光範囲(EV2~18)が minolta SR-T 101 の内蔵露出計(EV3~17)より広いのは、低輝度測光モードに切り換えられるからだろう。

暗めのファインダー

minolta SR-1s のファインダーは明るいとは言えない
minolta SR-1s のファインダーは明るいとは言えない
 minolta SRシリーズのファインダーは暗めで、スクリーンの拡散特性の兼ね合いもあり、開放F値が暗いレンズだとスクリーンのザラツキが目立って気持ち良くファインダーを覗けない。 開放F1.7の標準レンズなら気にならないけど、開放F3.5のレンズを装着するときになってしまう。 また、中央のマイクロプリズムが細かくて、ファインダー視度が合っていないとピント合致を確認し難いのだ。 後の minolta XD に採用されたアキュートマットスクリーンは秀逸で、このファインダーを使いたいが為にミノルタのカメラを選択する人も居たほどだ。

 そこで、ペンタプリズム蒸着に酷い腐食が発生して、ファインダーがマトモに見えない minolta X-7 ブラック(minolta X-7 シルバー はアキュートマットスクリーンではない)をドナーとして、アキュートマットスクリーンを取り出して移植手術を施そうと考えた。 minolta X-7 ブラック のスクリーン中央部にはマイクロプリズムとスプリットイメージプリズムが組込まれていて、明るいしピント確認し易いファインダーである。 百円台の MINOLTA X7 ブラックを買ってみたけど、ペンタプリズム蒸着の腐食以外は全機能が正常に動作する綺麗な個体だったので、ドナーにしちゃうるか悩んでいる。

minolta New SR-1 ではコルク板が挟まっていたけど、minolta SR-1s ではモルトが挟まっているので加水分解が不安だ。
SR-1s はモルトを使用
 ちなみに、minolta SR-1s の上カバーを外してみると、ペンタ押さえバネとペンタの間にモルトが挟まっている。 minolta New SR-1(SR-1 Type-5)ではコルク板が挟まっていたのに、SR-1s はでモルトに換えられてしまった。 一応、ペンタ押さえのモルト劣化は殆どみられないけど、ミラーボックス内のミラー受けモルトは完全に加水分解しているので、ペンタ押さえのグレイ色スポンジは、加水分解し難い素材を使っているのかも知れない。 でも、不安が残るので、そのうちコルク板に換えてあげようと思う。

アキュートマットスクリーンとは
 従来のすりガラスタイプのマット面とは異なり、19.6μmピッチの微小な6角錐型プリズムを規則正しく敷き詰めたものである。 光の拡散効率を改善し、接眼レンズの方向へ届く拡散光を飛躍的に高めたことで、ファインダーの明るさが50%も向上した。 ファインダーが明るくなり、ピントの山を掴み易いというメリットがあるが、写真として写るであろうボケ具合の正確性は損なわれる。 なお、フレネルレンズのピッチは45μm(約22本/ミリ)で殆ど気にならない。 このアキュートマットスクリーンは LEICA R4 以降のRシリーズや HASSELBLAD 503CX 以降にもOEM供給され、僕の HASSELBLAD 205TCC などもアキュートマットスクリーンだ。

あとがき

 1965年発売の New SR-1(AUTO ROKKOR-PF 1:1.8 f=55mm 付き)の現金正価が¥36,000円だったので、MC ROKKOR-PF 1:1.7 f=55mm が付いてシャッター速度が1/1000秒になった minolta SR-1s の¥3,7000円という価格は、連動露出計が用意されなかった Nikomat FS の¥37,800円(Nikkor-H Auto 50mm F2付)より魅力的だった。 minolta SR-1s は SR-T 101 に対して廉価版という位置付けだったけど、ミノルタ最後の露出計非搭載のフルマニュアル一眼レフカメラとして役割を終える事になる...あっ、minolta SR-M が最後だけど、アレは特殊なカメラで廉価版という訳じゃなかったしね。

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