TAMRON 35-70mm F/3.5 Model 17A - 安くて良く写る標準ズーム

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TAMRON 35-70mm F/3.5 Model 17A
TAMRON 35-70mm F/3.5 Model 17A
 既に35-70mmという標準ズームは各カメラメーカーから発売されていて、スペック的に面白みのないズームレンズだけど、写りは悪くなかった。

TAMRON 35-70mm F/3.5 Model 17A - 1982年発売

 本レンズは1982年発売で 35-70mm F/3.5 という凡庸なスペックの標準ズームで、1980年発売の 35-70mm F/3.5-4.5 Model 09A の後継機である。 価格は¥39,000で、1977年発売の Ai Zoom Nikkor 35-70mm F3.5 の¥95,000よりかなり安く、1978年発売の MD ZOOM ROKKOR 35-70mm F3.5 の¥66,800 や 1979年発売の New FD35-70mm F4 の¥45,000をも凌ぐ低価格の製品だった。

レンズ構成

TAMRON 35-70mm F/3.5 Model 17A レンズ構成
レンズ構成
 7群7枚構成のシンプルな2群ズームで、第1~3レンズが負パワーの前群で、第4~7レンズが正パワーの後群で、前群と後群との間隔を変化させる事で焦点距離を変えている。 雰囲気としては凸凸凹凸のエルノスター型のマスターレンズ(後群)の前方に、凹凹凸の大きなワイドコンバーター(前群)が付いている感じで、ワイドコンバーターとマスターレンズとの間隔を変化させてワイド具合を変えていると考える事もできる。
 前群と後群のパワー配置にもよるけど、このレンズはワイド端で前群が大きく前方へ移動するので、見た目は35mm端がテレ端の様な容姿になる。

ズーミンググリップ(反対側にもある)
ズーミンググリップ
 このレンズのズーム環には「ズーミンググリップ」と呼ばれる2枚の羽根が付いていて、細いズームでもズーミング操作を楽にしている。 この「ズーミンググリップ」は1981年に発売された MD ZOOM 35-70mm F3.5(2代目)に付いていて、ライカの Vario-Elmar-R 35-70mm/f3.5(ミノルタ製)にも付いていた物と一緒(真似た?)である。
 開放F値はズーム全域で一定のF3.5だけど、絞り径がズームで変化する「パクパク絞り」になっている。 テレ端では絞り羽根が全開だけど、ワイド側では絞り径が小さくなることで、ズームで開放F値が一定になっている。

 フォーカシングはMODセレクター式のテレマクロになっていて、テレ端での最短撮影距離が0.25m(倍率0.36倍)まで近接できるが、ワイド端では最短撮影距離が0.9mなので、全然寄れない。 ワイド側で寄りたいと思って距離環を回していると、テレ側へ変化するのがMODセレクターだ。 ちなみに、カムとの関係からテレ端付近ではMODセレクターが少しだけ回り切らない。
 フィルター径はΦ58mmで、フィルター枠が距離環と共に回転してしまうので、PLフィルターなどは使い難い。

コラム  Model 17A は1982年から1987年までの製造期間中に、外観・仕様が3回変更されていて、本個体は最終の Type-3 である。 初期の Type-1 は距離環ゴムローレットが細かいパターンでフォーカスの回転方向がタムロン回りではなく、ニコン回りになっていた。 Type-2 ではフォーカスの回転方向がタムロン回りに改められ、Type-3 では距離環のゴムローレットが荒いパターンへ変更されている。 妄想だけど、Type-1 でニコン回りにしたのは「気の迷い」ではなく、高額なニコン製品を買えないニコンユーザーへのアピールだったのだろう。

描写特性

遠景描写

 以下の写真は SONY ILCE-9 で撮影したRAW画像をIE Edit Ver.4.0.00.10311 にて、ホワイトバランスは6000°Kに設定し、Dレンジオプティマイザーはオフに設定して現像してあります。

f=35mm
TAMRON 35-70mm F/3.5 Model 17A f=35mm F:3.5
絞り:F3.5
TAMRON 35-70mm F/3.5 Model 17A f=35mm F:5.6
絞り:F5.6
TAMRON 35-70mm F/3.5 Model 17A f=35mm F:8
絞り:F8
 絞り開放から画面中央付近は良い描写で、周辺にゆくほど徐々に描写が低下する。 それでも画面四隅以外は良い描写だ。 F5.6に絞ると画面周辺まで素晴らしい描写になり、画面四隅の描写に甘さが残る。 F8では画面四隅も充分な描写になり、F11まで絞れば画面四隅でも良い描写になる。
 急に落ち込むタイプのの周辺光量落ちがあり、絞る事でジワジワと改善してゆき、F8で殆ど判らなくなり、F11で周辺光量落ちは解消される。

f=50mm
TAMRON 35-70mm F/3.5 Model 17A f=50mm F:3.5
絞り:F3.5
TAMRON 35-70mm F/3.5 Model 17A f=50mm F:5.6
絞り:F5.6
TAMRON 35-70mm F/3.5 Model 17A f=50mm F:8
絞り:F8
 絞り開放から画面中央付近は良い描写で、画面四隅の描写が低下する。 F5.6に絞ると画面周辺まで素晴らしい描写になり、画面四隅の描写も充分な描写になる。 F8では画面全域で素晴らしい描写になる。
 絞り開放でも気付きにくいほどの緩やかな周辺光量落ちがあり、F8で周辺光量落ちが解消される。

f=70mm
TAMRON 35-70mm F/3.5 Model 17A f=70mm F:3.5
絞り:F3.5
TAMRON 35-70mm F/3.5 Model 17A f=70mm F:5.6
絞り:F5.6
TAMRON 35-70mm F/3.5 Model 17A f=70mm F:8
絞り:F8
 絞り開放では少しソフトな描写で、画面四隅のコマフレアが多い。 F5.6に絞ると画面周辺まで素晴らしい描写になり、画面四隅の描写も充分な描写になる。 F8では画面四隅も良い描写となり、F11まで絞れば四隅も含めて画面全域が素晴らしい描写になる。
 絞り開放では気付きにくいほどの緩やかな周辺光量落ちがあり、F8で周辺光量落ちが解消される。

 発色・色乗りが浅めだけど、デジタルカメラなら彩度を少し上げれば対応できるし、35-70mm F3.5 という凡庸な仕様とはいえ、たった7枚のレンズ構成でこの描写性能は立派だと思う。 レンズを増やしてもう少しコストを掛ければ最高の性能になるんじゃないかと妄想しちゃうけど、小型・軽量・安価という路線は間違っていない。 レンズ枚数を増やして大きく・重く・高価なレンズならサルでも設計出来るからだ。

一般撮影

 以下の写真は SONY ILCE-9 で撮影したRAW画像をIE Edit Ver.4.0.00.10311 にて、ホワイトバランスをオートに設定し、Dレンジオプティマイザーもオートに設定して現像してあります。 また、日中の写真はノイズリダクションはオフにしてあります。 なお、記載の絞り値や焦点距離は撮影時の記憶に頼っているので、間違っているかも知れません。m(_ _)m
TAMRON 35-70mm F/3.5 Model 17A f=35mm F:3.5
f=35mm F:2.8
TAMRON 35-70mm F/3.5 Model 17A f=50mm F:3.5
f=50mm F:3.5
TAMRON 35-70mm F/3.5 Model 17A f=70mm F:3.5
f=70mm F:3.5
TAMRON 35-70mm F/3.5 Model 17A f=70mm F:3.5
f=70mm F:3.5
TAMRON 35-70mm F/3.5 Model 17A f=70mm F:3.5
f=70mm F:3.5
TAMRON 35-70mm F/3.5 Model 17A f=45mm F:3.5
f=45mm F:3.5
TAMRON 35-70mm F/3.5 Model 17A f=70mm F:3.5
f=70mm F:3.5
TAMRON 35-70mm F/3.5 Model 17A f=50mm F:5.6
f=50mm F:5.6
TAMRON 35-70mm F/3.5 Model 17A f=70mm F:3.5
f=70mm F:3.5
TAMRON 35-70mm F/3.5 Model 17A f=50mm F:3.5
f=50mm F:3.5
TAMRON 35-70mm F/3.5 Model 17A f=35mm F:3.5
f=35mm F:3.5
TAMRON 35-70mm F/3.5 Model 17A f=35mm F:3.5
f=35mm F:3.5
 絞り開放では少しソフトな感じだけど、画面隅でも「充分」な描写なのは素晴らしい。 後ボケに二線ボケの傾向があり、小デフォーカスの輝点後ボケがリング状になるだけでなく、ヘソ付きのボケ(カエルの卵状)になる場合があるので、気になるシーンもあるだろう。 でも、ピントが合っている部分は結構シャープに写るので許してあげよう。
 焦点距離域が35mmから70mmまでの2倍ズームなので、現代の便利ズームの様な劇的なパースの変化は無い。 でも、焦点距離が70mmなら0.25mまで寄れるし、50mmでも0.3mまで寄れるので、不自由なく楽しめる。 そして、前世紀のレンズとしては絞り開放でも充分な描写なので、どの絞りでも自由に撮影を楽しめる。 「SP」を冠していないけど、銘玉に推したくなる優れたレンズだと思う。 ただし、発色はあっさりしているので、動画を切り出したような雰囲気に感じる事もある。

あとがき

 大昔に 僕の LEICA R5 と TAMRON 35-70mm F/3.5 Model 17A をセットにして後輩に長期間貸したことがあった。 LEICA のレンズを買えない僕は、LEITZ VARIO-ELMAR R 1:3.5/35-70 がミノルタ製のレンズなんだから、タムロン製を付けたっていいじゃんという屁理屈だった。 このレンズは描写性能は悪くなかったけど、色乗りがあっさり過ぎてライカ感のない写真になるのが難点だった。 ちなみに、1990年頃に発売された LEICA 28-70mm F3.5-4.5 はシグマ製OEMと判っていたため、当時のマニア達から不平・不満が噴出したらしい。

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