PASSEDステッカーって何?

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古い日本製品に貼ってあったPASSEDステッカー
古い日本製品に貼ってあったPASSEDステッカー
 年配の方なら古い日本製のカメラやレンズに、楕円形の「PASSED」ステッカーが貼ってあったことを覚えているだろう。 また、中古販売店でも「PASSED」ステッカーが貼ったままの商品を見かけるハズだ。

PASSEDステッカーとは

 「PASSED」ステッカーは厳密で高度な品質検査を「パスした」製品という意味ではない。 1950年代から1980年代に、JCII(日本写真機検査協会)とJMDC(日本機械デザインセンター)による「最低限の品質要件を満たし、模造品ではない」という証で、その昔に『日本のカメラはドイツ製を模造した安っぽいカメラだ』という評判を払拭する狙いがあった。 JCIIに入っていない小規模メーカーには、独自の「PASSED」ステッカー(つまり偽物?)を張って輸出・販売していた事もあった様だ。

 最初は「PASSED」ステッカーには、輸出検査を実施していた「JCII」としか記載されていなかった。 1959年(昭和34年)9月に施行された輸出デザイン法によってJMDCがデザイン認定する事となったが、その内容はかなり近いものなので、両者で協力して検査・認定する事となり、「PASSED」ステッカーに「JCII」と「JMDC」の両方が記載される様になったらしい。
 ちなみに、見た事は無いけど輸出検査のみの品目には銀色でJCIIのみ記載の「PASSED」ステッカーがあったそうだ。 また、後年には「PASSED」ステッカーに記載のJCIIの文字に加えて数字も追記される様になり、この数字は頻繁に変更(偽ステッカー対策?)されていたらしい。

 輸出デザイン法によってデザイン認定が必要となった輸出製品は以下の通りである。
  1. 二枚以上の撮影レンズを有するか、またはバルブ、タイム及びインスタント以外のシャッターの公称速度のシャッターを有する携帯写真機(組立暗函のもの、航空撮影用のもの、水中撮影用のものその他特殊の用途に用いるものを除く。)並びにそのボディおよび撮影レンズ
  2. 8ミリ撮影機並びにそのボディ及び撮影レンズ
  3. 8ミリ映写機および映写レンズ
  4. 電気露出計は、「認定機関の認定を受けた後でなければ、輸出してはならない」
 輸出検査もデザイン認定も、❝輸出の健全な発展をはかる❞という目的は同じなので、すでに輸出検査を実施していた日本写真機検査協会にて、輸出検査と同時にデザイン認定業務を行う事になったらしい。

プラ外装製品だとステッカー痕が残る場合がある
ステッカー痕
 「PASSED」ステッカーはカメラ外観の一等地に貼ってあったりするので、当時は『こんな物貼るんじゃねぇよ!』と呟いて剥がす人も多かったハズで、僕も積極的に剥がしていた。 今では「PASSED」ステッカーが残っている方が、遺物として少しプレミアムが付いたりする様だ。 何十年も貼ってあった「PASSED」ステッカーは糊がべとついたりするので、汚いから剥がしてみると本体外装や塗装膜に日焼け痕の様なステッカー痕が残ってしまう事がある。 こうなると、貼っておいた方が良かったと感じてしまう。
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