Ai-S NIKKOR 105mm F1.8 - 描写が豹変するクセ玉

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Nikon Ai-S NIKKOR 105mm 1:1.8
Nikon Ai-S NIKKOR 105mm 1:1.8
 僕が所有しているマニュアルフォーカスのニコンレンズは Ai 以前の骨董品ばかりだけど、唯一のAiレンズがコレだ。

Ai-S NIKKOR 105mm 1:1.8 - 1981年発売

 ニコンの一眼レフ用105mmレンズは1959年の NIKON F 発売当初から用意されていた。 NIKON S シリーズ用を流用したテレゾナー型のレンズは1971年にクセノター型の新光学系となったが、開放F値はF2.5のままだった。 クセノター型の 105mm F2.5 は光学的な欠点が少ないレンズだったけど、もっと明るいレンズが欲しいという要望が強かったのだろうか?
 1981年に開放F値をF1.8としたべらぼうに明るいこの105mmレンズを発売たけど、当時の僕自身はF2.5を愛用していたので必要性を感じていなかった。

レンズ構成

Ai-S NIKKOR 105mm 1:1.8 レンズ構成
レンズ構成
 このレンズは5群5枚構成のクセノター型で、前群の張り合わせを分離しているので拡張クセノター型とでも呼べるだろう。 クセノター型は中央解像感が良く画角も広く出来るメリットがある。 それにしても、F1.8の明るさなのに5枚のレンズしか使われていないので、実用性を考えないで教科書に載せるだけのレンズではないかと思ってしまう。
 レンズには引き出し式のフードが組込まれていて、効果が低そうなフードを引き出す場合は適度な圧入感でセットされるけど、収納状態ではスカスカなのがチョット気に入らない。

描写特性

遠景描写

 絞り開放ではパープルフレアが目立つが解像感はある感じだ。 また、画面周辺ほど像が流れ気味になる。 F2.8に絞るとフレア感が消えてスッキリするけど、画面隅ではまだ少しボヤけている。 F4に絞ると画面全域で充分な描写となり、F5.6では画面全域で素晴らしい描写が得られる。

Ai-S NIKKOR 105mm 1:1.8 絞り:F1.8
絞り:F1.8
Ai-S NIKKOR 105mm 1:1.8 絞り:F2.8
絞り:F2.8
Ai-S NIKKOR 105mm 1:1.8 絞り:F4
絞り:F4

夜景描写

 絞り開放での点光源に対してはパープルフレアが豊富で、画面周辺のコマフレアも多い。 周辺のコマフレアが硬めななので解像感を落としている。 F2.8に絞るとかなりすっきりするけど画面周辺の点光源は非点収差の影響で放射方向へ伸び気味だ。 F4まで絞ると画面隅でも点光源が点光源と認識できる。 なお、9枚絞りなので輝点に18本の光芒が現れるけど、光芒の強さは抑えられている。

Ai-S NIKKOR 105mm 1:1.8 絞り:F1.8
絞り:F1.8
Ai-S NIKKOR 105mm 1:1.8 絞り:F2.8
絞り:F2.8
Ai-S NIKKOR 105mm 1:1.8 絞り:F4
絞り:F4

一般撮影

 明るいだけあって良くボケてくれる。 モノクローム撮影なら殆ど気にならないけど、カラーだとハイライト部の「色ボケ」が気になる場合がある。 絞りを開けて撮影するなら柔らかい照明の下で使えば色ボケは目立たないだろう。 一方、絞りをF2.8以上に絞り込むとフツーの中望遠レンズといった描写になる。 また、開放での周辺光量落ちがイイ感じで中央を引き立ててくれる。

Ai-S NIKKOR 105mm 1:1.8 絞り:F1.8
絞り:F1.8
Ai-S NIKKOR 105mm 1:1.8 絞り:F2.8
絞り:F2.8
Ai-S NIKKOR 105mm 1:1.8 絞り:F2
絞り:F2
Ai-S NIKKOR 105mm 1:1.8 絞り:F2
絞り:F2
Ai-S NIKKOR 105mm 1:1.8 絞り:F2.8
絞り:F2.8
Ai-S NIKKOR 105mm 1:1.8 絞り:F2.8
絞り:F2.8
Ai-S NIKKOR 105mm 1:1.8 絞り:F1.8
絞り:F1.8
Ai-S NIKKOR 105mm 1:1.8 絞り:F2.8
絞り:F2.8
Ai-S NIKKOR 105mm 1:1.8 絞り:F5.6
絞り:F5.6
Ai-S NIKKOR 105mm 1:1.8 絞り:F4
絞り:F4
Ai-S NIKKOR 105mm 1:1.8 絞り:F8
絞り:F8
Ai-S NIKKOR 105mm 1:1.8 絞り:F1.8
絞り:F1.8

 あえて5枚レンズで構成したのは絞り開放でのフレアを狙ったのだろうか? そのフレアのお陰で絞り開放ではソフト過ぎると感じる事があり、F2.8では普通のレンズになってしまう。 絞りF2のクリックがあるので適度なフレア感を持たせられる。 色ボケが気になるけど、絞り値で表情が豹変するクセのあるオールドレンズとして楽しめる。 ちなみに、通常の色収差やパープルフリンジなどはアプリである程度の修正が可能だけど、「色ボケ」の修正は困難だ。

色ボケ画像とモノクローム化画像

あとがき

 実は NIKKOR-P・C  Auto 1:2.5 f=105mm を持っているのに10年ほど前に中古の 1:1.8 を買ってしまった。 というのも、NIKON F-100 には骨董品の NIKKOR Auto レンズは装着できないので、装着できる中望遠レンズが欲しかったのだ。 AF DC-NIKKOR 135mm 1:2 D を持っていたけど、焦点距離がちょっと長すぎる。 AF DC-NIKKOR 105mm 1:2 D という選択肢もあったけど、安くてクセ多めな中古の中望遠レンズが欲しかったのだ。 期待通りのクセ玉だったので嬉しく思っている。 不満なのは色ボケが多いことと NIKON F100 ではファインダー内に絞り値が表示されない事だった。 タンポポチップでAi-P化しちゃおうかなぁ...
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