この時代のロッコールレンズにはレンズ構成が表記されていて、このレンズは「PF」と表記されている。 最初のPはPentaの略で5群構成である事を意味していて、次のFはアルファベット6番目なので6枚構成である事を意味している。 群数の表現は以下の通り。
1966年のMCレンズ発売と同時に製品化された普及機向け標準レンズで、これまでの普及機向け標準レンズはF1.8で上級レンズのF1.4より0.73段暗かったが、F1.7となったのでF1.4レンズより0.5段暗いという仕様になった。
前群の貼り合わせを分離する事でコマ収差を抑える効果があるけど、ゴースト・フレアが発生し易い。 でも、張り合わせ加工する手間を省ける利点があったと考えられる。 PF 1:1.7 f=55mm は第2凸レンズと第3凹レンズの分離間隔が広めなのが特徴と言えるけど、その効果については検証していないので判らない。
絞り羽根は6枚で、フィルター径はΦ52mmである。 標準フードはネジ込み式の D52ND だったけど、逆付け収納できるニコン製の標準レンズ用フード HS-1 が使い易い。
Achromatic Coating
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| 緑のロッコール |
当時のロッコールレンズは前玉の2層アクロマチックコーティングが見る角度によって緑色に見える事から、『緑のロッコール』と呼ばれていた。 緑色に反射して綺麗なんだけど、この2層アクロマチックコーティングは蒸着が弱いらしいので、雑に拭くとキズが付き易いと言われている。 レンズを分解清掃する際にはゴミを完全に除去してから、汚れを「優しく」拭いてあげるか、中性洗剤を使って指で洗った方が良いだろう。
ちなみに、1965年頃のロッコールレンズカタログには「緑のロッコール」と記述されているけど、それより前のカタログには「二層膜緑色コーティング」と記載しているだけで、ロッコールを体現する様な記述はなかったので、New SR-1 / New SR-7 の時に「緑のロッコール」という謳い文句を使い始めた様だ。
距離環
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| 梅鉢タイプの距離環 |
このレンズは初期のMCレンズなので、外観が金属梅鉢タイプの距離環になっていて、最短撮影距離は0.55mである。 旧型の AUTO ROKKOR PF 1:1.8 f=55mm は0.5mだったので、少し退化してしまった。 標準レンズで最短が0.55mはテーブルフォトにはぎりぎりで、ちょっと寄り足りないと感じる事も多い。
なお、このレンズには前期型と後期型があり、距離環の梅鉢形状が異なる。 本個体の距離環は梅鉢に凹み付いているので後期型だと思われる。 ちなみに、マウントアダプターと TECHART LM-EA7 を使うと、LM-EA7 の最大繰出し量4.5mmと合わせると、0.39m(撮影倍率0.2倍)ほどまで寄れるので、不満なく使える。
絞り環
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| 絞り環のMC爪 |
絞りはF1.7からF16までの「ほぼ」等間隔絞りで、各絞り値には0.5段ごとにクリック(F1.7とF2の間は1.5段)が有るけど、開放付近のクリックはF1.7の次はF2.8になってしまうので、せめてF2の位置にクリックがほしかった。 絞り環の内側にクリック用の溝が切ってあるので、F1.7とF2.8のほぼ中間に溝を切ればF2用のクリックを持たせられそうだ。
それにしても絞り環を銀色にしたのは何故なんだろう? 黒い絞り環の方が精悍な印象を受けるし、銀色環は脱着用の固定された指掛かりリングみたいだ。 なお、絞り羽根は6枚で、AUTO ROKKOR 1:1.8 f=55mm の前期型は8枚だったのでARC型同様に2枚減らされている。
周辺光量落ちの測光補正
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| MC爪の位置が微妙に違う |
minolta ST-101 のカタログによると、レンズごとに開放絞りでの周辺光量落ちによる測光結果への影響を補正する様にMC爪の位置が調整されている旨が謳っている。 TTL開放測光の基本は装着レンズの開放F値に関係なく、絞り環が開放位置から何段分回っているかの情報が必要で、本来は装着レンズによらず絞り環が開放ならMC爪の位置は同じなのが基本である。
ところが、MC W.ROKKOR-SG 1:3.5 f=28mm の開放でのMC爪位置と、MC ROKKOR-PF 1:1.7 f=55mm の開放でのMC爪位置とでは微妙に違いがある。 PF 1:1.7 f=55mm は絞り開放でもMCピンを少し動かすけど、SG 1:3.5 f=28mm の絞り開放ではMCピンはレンズ非装着時と変わらない。 つまり、システムとして周辺光量落ちが大き目のレンズに最適化してあるけど、PF 1:1.7 f=55mm は SG 1:3.5 f=28mm より周辺光量落ちの影響が少ないので測光結果が明るめに出る(絞りを閉じたくなる)ので、連動している追針を小絞り方向にオフセットして、露出計を補正しているらしい。
また、このレンズの絞り環はF1.7とF2.8の間隔が1.5段ではなく1段ほどの間隔しかない。 このレンズに限らず MC ROKKOR-PF 1:1.4 f=58mm もF1.4とF2の間隔が0.5段ほどの間隔しかない。 これも補正と関係していると想像している。 TTL内蔵露出計の追針はシャッター速度と絞り環の両方にメカ連動しているので、どちらを1段分変更しても同じ量だけ追針が移動するが、絞り開放付近だけは追針の動きが少ない。
例えば、絞り開放で追針とメーター指針が合致している場合、F1.7→F2.8に変更した場合はシャッター速度を1段分遅くすれば追針が指針と合致するけど、実際の露出量は0.5段少なくなる。 これは周辺光量落ちによる露出計補正とは違う気もするけど、絞り開放と開放以外とで露出量が変わる様になっているのは確かだ。
絞り込み釦
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| 絞り込み釦 |
MC ROKKOR-PF 1:1.7 f=55mm は、距離環の意匠が異なる前期型・後期型それぞれに、絞り込み釦が未装備の製品と装備された製品とがある。 絞り込み釦が装備された製品はプレビュー機能を持たない
minolta SR-1s 向けに製造されたレンズだと思われ、minolta SR-T 101 にセットされたレンズには絞り込み釦は装備されていない。 本個体は minolta SR-1s とセットされた後期型レンズなので、絞り込み釦が付いているけど、単体売りされた製品がどちらだったのかは知らない。
描写特性
本個体はカビと酷い前玉の(洗浄しても取れない)クモリと拭きキズでフレアっぽくてコントラストが低い写真になってしまう。 また、デジタルカメラのローパスフィルターやIRカットフィルターなど、フィルム時代には考慮されていない光学部材の影響で、気にする程じゃないけど本来の描写性能は出ていないと思います。 それにしても、今年は天気が悪い。
遠景描写
以下の写真はマウントアダプターを介して SONY ILCE-9 で撮影したRAW画像をIE Edit Ver.4.1.01.06121 にて、ホワイトバランスを太陽光に設定し、Dレンジオプティマイザーはオフに設定して現像してあります。
絞り:F1.7
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絞り:F2.8 |
絞り:F4 |
絞り:F5.6 |
絞り:8 |
絞り:F11 |
遠景描写の絞り開放での画面中央は少しソフトな描写で、画面周辺ほどソフト感が増すけど開放にしては良い描写だ。 絞りF2.8では画面中央付近は素晴らしい描写で、画面周辺の描写も向上する。 絞りF4では画面極四隅を除いて素晴らしい描写だ。 絞りF5.6なら画面全域で素晴らしい描写になる。 なお、絞るほど画面のコントラストが低くなるのは前玉のクモリによる影響が増すためだと思われる。
絞りF1.7開放では素敵な周辺光量落ちがあり、絞りF2.8では目立たなくなり、絞りF4でほぼ解消する。
夜景・点光源描写
以下の写真はマウントアダプターを介して SONY ILCE-9 で撮影したRAW画像を、古~い現像アプリ DxO PhotoLab 3.3.0 Build 4391 にて、ホワイトバランスを蛍光灯に設定して現像してみました。 なお、色収差補正やディストーション補正や周辺光量補正などの光学補正は施していません。
絞り:F1.7 |
絞り:F2.8 |
絞り:F4 |
絞り:F5.6 |
絞り:F8 |
絞り:F11 |
絞り:F1.7 |
絞り:F2.8 |
絞り:F4 |
やはり、前玉のクモリによる影響でコントラストが低い画像である。 絞りF1.7開放でも画面中央付近はなかなか良い描写で、画面周辺にゆくほどメリディオナル・サジタルコマが発生してボヤけてしまう。 画面隅ではサジタルコマフレアが目立つ。 F2.8に絞ると画面中央付近は素晴らしい描写で、画面周辺の描写が改善される。 F4に絞ると画面隅の点像が点像っぽい描写になり、F5.6まで絞れば夜景として充分な描写になる。 絞り羽根が6枚なので、絞り込むと輝点の周りに6本の光芒が現れる。
絞り開放の玉ボケ描写はボケ周囲のエッジの達具合は少ない方だ。 画面周辺ではレモン型の玉ボケになるが、嫌らしさはない。 F2.8に絞れば6角形の玉ボケになり、画面隅ではレモン型が残っている。 F4に絞れば明確な6角形の玉ボケになり、画面周辺でも6角形の玉ボケが揃う。 玉ボケを見る限り、ボケ味は悪くないと思う。
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