TAMRON 105mm F2.5(CT-105)- 小型・軽量のオールド中望遠レンズ

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TAMRON 1:2.5 f=105mm(Model CT-105)
TAMRON 1:2.5 f=105mm(Model CT-105)
 TAMRON 105mm F2.5(CT-105)は1976年に発売された鮫肌タムロン時代のアダプトールマウントシリーズ用「鮫肌」レンズで、105mmという焦点距離にしてはコンパクトな中望遠レンズである。

TAMRON 1:2.5 f=105mm(CT-105)- 1976年発売

4群4枚のエルノスター型
レンズ構成
 タムロン CT-105 のレンズ構成は教科書に載ってそうな4群4枚のエルノスター型で、長めの標準レンズに見えるほど小型軽量なレンズである。 同仕様のレンズでは NIKON F 用の Nikkor-P Auto 105mm F2.5 が思い浮かぶけど、比較すると全長・重量ともタムロンの方がず~っと小型軽量である。 タムロンの多層コートは「Broad Band Anti-Reflection」と命名されていて、BBAR MULTI C. と表記されている。 まっ、普通の多層膜コートのことなんだけど、全てのレンズ面がBBARコーティングという訳ではない。 カラーバランス調整のため、ゴーストが気になる面以外はアンバーコートやマゼンタコートなどを使ってカラーバランスを整えているハズだ。 多分、このレンズは前凸群にBBARコートを施してあると想像される。 鏡筒には自動絞りとマニュアル絞りの切換えレバーが備わっている。
CANON FD用マウントはレンズに合った開放F値伝達ピンが付いたマウントが必要
CANON FD 用マウント
 なお、このレンズは「アダプトール2」ではなく「アダプトール」なので、レンズ本体側に開放F値をメカ伝達する手段(アダプトール2は開放F値を後面壁の高さで伝達)が無い。 開放F値伝達を必要としない測光システム(NIKON F とか MINOLTA SR とか PENTAX SP など)用マウントなら問題ないけど、CANON FD マウント等では開放F値が適合するアダプトール交換マウントを用意する必要がある。 なお、写真の CANON FD 用アダプトールマウントは開放F2.8用で、このマウントでキヤノン機に装着すると開放がF2.8のレンズとして認識される。
 FD用アダプトール2マウントでも装着は可能だが、開放値伝達ピンが最大に飛び出すので開放F値がF1.4として伝達されてしまう。 従ってFDカメラシステムで利用する場合は注意が必要で、適合するFD用アダプトールマウントが無い場合はFD用マウント部の改造などが必要になる。 なお、ミラーレスデジカメで遊ぶなら絞り込み測光なので問題は生じない。

描写特性

遠景描写

 遠景撮影した日は大気に水蒸気が多くてモヤっとした条件だったとはいえ、全体的にコントラストが低めだ。 絞り開放ではフレアっぽい描写になるけど、F4に絞るとフレア感が無くなって画面周辺の描写も良くなる。 F5.6まで絞ると極四隅でも充分な描写になり、F8なら全画面で素晴らしい描写になる。 なだらかな周辺光量低下があるれど絞りF4で大きく改善されて、絞りF5.6なら殆ど判らなくなる。

TAMRON 1:2.5 f=105mm(CT-105) 絞り:F2.5
絞り:F2.5
TAMRON 1:2.5 f=105mm(CT-105) 絞り:F4
絞り:F4
TAMRON 1:2.5 f=105mm(CT-105) 絞り:F5.6
絞り:F5.6

発色特性

 発色はかなり寒色系で、ホワイトバランスを「太陽光」で日中に撮影すると500ケルビンほど青く仕上がる。 また、カメラのAWBで撮影してもあっさりした色味になってしまう。 古いタムロンレンズはあっさりした発色のレンズが多かった。
AWB現像 と DayLight現像 との比較

一般撮影

 絞り開放だと少しフレアっぽくて色収差もあるのでソフトな描写になる。 また、後ボケには緑色で前ボケには紫色の色が付く「色ボケ」は余り気にならない。 F4に絞ればフレアっぽさも無くなり、F5.6まで絞れば画面全域で充分な描写となる。 中距離で主被写体以外はボケている様なポートレイト的なシーンでは開放絞りの柔らかい描写と素直な後ボケがイイ感じだ。 なお、記載の絞り値は撮影時の「記憶」なので、間違っているかも知れません。m(_ _)m

TAMRON 1:2.5 f=105mm(CT-105) 絞り:F4
絞り:F4
TAMRON 1:2.5 f=105mm(CT-105) 絞り:F2.5
絞り:F2.5
TAMRON 1:2.5 f=105mm(CT-105) 絞り:F2.5
絞り:F2.5
TAMRON 1:2.5 f=105mm(CT-105) 絞り:F8
絞り:F8
TAMRON 1:2.5 f=105mm(CT-105) 絞り:F2.5
絞り:F2.5
TAMRON 1:2.5 f=105mm(CT-105) 絞り:F2.5
絞り:F2.5
TAMRON 1:2.5 f=105mm(CT-105) 絞り:F4
絞り:F4
TAMRON 1:2.5 f=105mm(CT-105) 絞り:F2.5
絞り:F2.5
TAMRON 1:2.5 f=105mm(CT-105) 絞り:F4
絞り:F4

 激しいゴースト・フレアーは発生しないけど全体的にコントラストが低めで、オールドレンズらしい描写だ。 鏡筒内面の反射防止処理が足りていない感じで、画面外のハイライトや日差しに影響を受ける様なので、フードは装着して撮影した方が良い。 いっそ、虹色円弧ゴーストでも発生してくれたら「エモい」と喜ぶマニアが居たかも知れない。

あとがき

 TAMRON 105mm F2.5(CT-105)はクセ玉という訳じゃないし、描写性能が素晴らしいという訳でもない。 ちょっと絞ればシャープになるエルノスターらしい描写のレンズで、普通のオールドレンズという感じなので撮影していてあんまり萌えない。 また、最短撮影距離が1.3mとえらく遠くて全く寄れないのも残念だ。 設計者が誰なのか判らないけど、田村爺さん(田村右兵衛さん)なら電卓で設計出来ちゃただろうなぁ。
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