minolta MD ZOOM ROKKOR-X 40-80mm F2.8 - これぞケテモノ

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minolta MD ZOOM ROKKOR 1:2.8 f=40-80mm
minolta MD ZOOM ROKKOR 1:2.8 f=40-80mm
 ゲテモノと言っていい特異な操作性のズームレンズで、MC時代の1975年に先代が発売されていた。 そのレンズにMD爪( MDとはMeter Coupler Dual の略で、露出計連動カプラー爪と共に最小絞り値通知爪の両方が設けられていた)を付けたレンズである。 図体が大きな minolta X-1 に装着してもゲテモノ感が強いレンズである。

minolta MD ZOOM ROKKOR-X 1:2.8 f=40-80mm - 1977年発売

minolta MD ZOOM ROKKOR-X 1:2.8 f=40-80mm レンズ構成
レンズ構成
 12群12枚構成で貼り合わせレンズが無い構成で、この時代のズームレンズとしては明るいF2.8通しを実現している。 分解していないので想像だけど恐らく3群ズーム方式で、第1群(第1~3レンズ)はズーミングで固定で、第2群(第4~6レンズ)と絞りを含む第3群(第7~12レンズ)をに移動させていると思われる。 古典的4群ズーム方式の第3群(コンペンセーター)と第4群(リレー系)を一緒にして第3群として補正移動させている感じだろう。 通常の最短撮影距離は1mなので通常使用に支障を感じるほど全く寄れない。 クローズアップに切換えればワイド端で0.37mまで寄ることが出来るが、面倒ったらありゃしない。

レンズの各操作部材 フォーカスダイヤル・ズームレバー・クローズアップ切換えボタン
レンズの各操作部材
 また、フォーカシング方式は全体繰り出し式で、ズームレンズとしては極めて珍しい。 通常、ズームレンズのフォーカシング方式を全体繰り出しにすると無限遠以外の任意の位置にピントを合わせてからズーミングするとピントがズレるバリフォーカルレンズになってしまう。 これは繰り出し敏感度が焦点距離比の2乗で効くからである。 このため、古典的4群ズームレンズではズームしてもパワーと結像関係が変わらない前玉を繰り出す方式が多かった。
 ただ、前玉繰り出し方式は前玉径が大きくなり易いのと、収差変動も大きめなので描写性能に対しては最適な方式ではない。 このレンズでは全体繰り出しを採用しつつ、ズームでの繰り出し量変化補正やマクロ機能などを実現するために鏡筒横に回転カムと2本のレールを持った複雑な補正駆動メカニズムを搭載している。 そして、フォーカス操作を回転ダイヤルとし、ズーム操作を回転レバーで行う突飛な構造になっている。 そこまでしても、任意の距離にピントを合わせてからズーミングするとピントがズレるので完全なズームレンズではなくバリフォーカルレンズである。

 特異なメカ構造としたためハッキリ言って非常に使い難い操作性になっているし、ズームもフォーカスも顕著なバックラッシュがある。 また、40-80mmの2倍ズームにしては随分と大きいけど持ってみると意外に軽く、ゲテモノ好き・ヘンテコ好きには堪らないレンズだ。

 フィルター径はΦ55mmだけど、専用のラーバーフードはΦ62mmの強固な鏡筒外枠に装着する。 フィルター枠への衝撃により、カムで繰り出すメカ機構への負荷を減らすために、強固な固定枠にフードを装着する様にしたと想像している。 衝撃を与えるとカムのコロが割れたりするんだよねぇ。 あるいは、前玉の有効径がフィルター枠ぎりぎりなので、単にフィルターとフードを重ねるとケラレるからかも知れない。

Φ55mmのフィルター枠とは別にフードはΦ62mmの固定枠がある
フードはΦ62mm
 僕はソリッドなフードが好みなのでΦ62→Φ67mmステップアップリングを介してメタルフードを装着しているが、僕のフードは広角レンズ用なので前玉保護の意味合いが強い。 なお、フードを装着したままでも通常のΦ55mmフロントキャップが装着可能である。 ちなみに、Φ62mm径のフードを直接取り付ける方法もあるが、大抵はフードのネジ部が肉厚なので薄肉化加工しないと装着出来ないだろう。 一方、殆どのステップアップリングはネジ部が薄肉なので問題なく装着出来るし、Φ55mmキャップの脱着もやり易い。 ちなみに、僕はフィルター装着は好きじゃないので、滅多にフィルターを装着することはありません。

描写特性

遠景描写(ワイド端)

minolta MD ZOOM ROKKOR-X 1:2.8 f=40-80mm 絞り:F2.8 f=40mm
絞り:F2.8 f=40mm
minolta MD ZOOM ROKKOR-X 1:2.8 f=40-80mm 絞り:F4 f=40mm
絞り:F4 f=40mm
minolta MD ZOOM ROKKOR-X 1:2.8 f=40-80mm 絞り:F5.6 f=40mm
絞り:F5.6 f=40mm
minolta MD ZOOM ROKKOR-X 1:2.8 f=40-80mm 絞り:F8 f=40mm
絞り:F8 f=40mm
minolta MD ZOOM ROKKOR-X 1:2.8 f=40-80mm 絞り:F11 f=40mm
絞り:F11 f=40mm
minolta MD ZOOM ROKKOR-X 1:2.8 f=40-80mm 絞り:F16 f=40mm
絞り:F16 f=40mm
 ワイド端の画面中央付近は絞り開放でもしっかりした描写でF4に絞ると充分な描写となる。 一方、絞り開放の画面周辺はボヤケ気味で、F8まで絞れば良い描写となるが画面右隅はボヤケ気味なので、ワイド端では片ボケがあると思われる。 なお、ややガケ落ちタイプの周辺光量落ちがあり目立ちやすい。 周辺光量落ちはF8まで絞れば解消される。

遠景描写(テレ端)

minolta MD ZOOM ROKKOR-X 1:2.8 f=40-80mm 絞り:F2.8 f=80mm
絞り:F2.8 f=80mm
minolta MD ZOOM ROKKOR-X 1:2.8 f=40-80mm 絞り:F4 f=80mm
絞り:F4 f=80mm
minolta MD ZOOM ROKKOR-X 1:2.8 f=40-80mm 絞り:F5.6 f=80mm
絞り:F5.6 f=80mm
minolta MD ZOOM ROKKOR-X 1:2.8 f=40-80mm 絞り:F8 f=80mm
絞り:F8 f=80mm
minolta MD ZOOM ROKKOR-X 1:2.8 f=40-80mm 絞り:F11 f=80mm
絞り:F11 f=80mm
minolta MD ZOOM ROKKOR-X 1:2.8 f=40-80mm 絞り:F16 f=80mm
絞り:F16 f=80mm
 テレ端の画面中央付近は絞り開放では少しソフトな描写だけどF4に絞ると充分な描写となる。 一方、絞り開放の画面周辺はボヤケ気味だけどワイド端ほどではない。 F4に絞れば改善し、F5.6まで絞れば良い描写となる。 やはり片ボケがあると思われるが、ワイド端ほど酷くはない。 なお、周辺光量落ちはあるけどあまり気にならない程度で、F5.6まで絞れば解消される。 ちなみに発色は寒色系だけど、濁った描写に感じるのは35℃の高温と湿度のせいかも知れない。

玉ボケ描写

minolta MD ZOOM ROKKOR-X 1:2.8 f=40-80mm 絞り:F2.8 f=40mm
絞り:F2.8 f=40mm
minolta MD ZOOM ROKKOR-X 1:2.8 f=40-80mm 絞り:F2.8 f=80mm
絞り:F2.8 f=80mm

 
 点光源の玉ボケ確認として、距離ダイヤルを1mに設定した状態で夜の遠景を撮影してみた。 一般的なレンズと異なり画面周辺の玉ボケがレモン型ではなく半月型になるのが特徴だ。 これは後玉と前玉とで光線カット比率が大きく異なるためで、このレンズは周辺光量低下の主要因が前玉によるケラレの影響である事が判る。 ミノルタの社内設計規定がどうなっていたのか判らないけど、ワイド端画面隅の光量不足はかな~りヤバいと思う。 もし、このまま前玉繰り出し方式にしたら完全にアウトだっただろう。

一般撮影

 どの焦点距離で撮影したか とか どの絞り値に設定したかとか クローズアップモードを使ったか などなど、忘れてしまったので記載は間違っているかも知れません。 オールドレンズはEXIFに撮影情報が残らないのが困りもの。💦
minolta MD ZOOM ROKKOR-X 1:2.8 f=40-80mm 絞り:F5.6 f=40mm Close Up Mode
絞り:F5.6 f=40mm
minolta MD ZOOM ROKKOR-X 1:2.8 f=40-80mm 絞り:F2.8 f=??mm
絞り:F2.8 f=??mm
minolta MD ZOOM ROKKOR-X 1:2.8 f=40-80mm 絞り:F2.8 f=??mm
絞り:F2.8 f=??mm
minolta MD ZOOM ROKKOR-X 1:2.8 f=40-80mm 絞り:F2.8 f=80mm
絞り:F2.8 f=80mm
minolta MD ZOOM ROKKOR-X 1:2.8 f=40-80mm 絞り:F4 f=40mm
絞り:F4 f=40mm
minolta MD ZOOM ROKKOR-X 1:2.8 f=40-80mm 絞り:F8 f=40mm
絞り:F8 f=40mm
minolta MD ZOOM ROKKOR-X 1:2.8 f=40-80mm 絞り:F2.8 f=??mm
絞り:F2.8 f=??mm
minolta MD ZOOM ROKKOR-X 1:2.8 f=40-80mm 絞り:F8 f=80mm
絞り:F8 f=80mm
minolta MD ZOOM ROKKOR-X 1:2.8 f=40-80mm 絞り:F8 f=40mm
絞り:F8 f=40mm
minolta MD ZOOM ROKKOR-X 1:2.8 f=40-80mm 絞り:F2.8 f=60mm
絞り:F2.8 f=60mm?
minolta MD ZOOM ROKKOR-X 1:2.8 f=40-80mm 絞り:F2.8 f=50mm
絞り:F2.8 f=50mm
minolta MD ZOOM ROKKOR-X 1:2.8 f=40-80mm 絞り:F5.6 f=40mm
絞り:F5.6 f=40mm
minolta MD ZOOM ROKKOR-X 1:2.8 f=40-80mm 絞り:F2.8 f=40mm
絞り:F2.8 f=40mm
minolta MD ZOOM ROKKOR-X 1:2.8 f=40-80mm 絞り:F2.8 f=50mm
絞り:F2.8 f=50mm
minolta MD ZOOM ROKKOR-X 1:2.8 f=40-80mm 絞り:F2.8 f=80mm
絞り:F2.8 f=80mm 
 遠景撮影では画面周辺のアラが良く判ってしまったけど、画面周辺ではピントが合っていない様なシーンではボケ味も含めて大きな不満のない描写だ。 ただし、周辺の玉ボケ具合が半月型なので、画面周辺の輝点ボケは妙な感じになる。 絞り開放では若干ソフトな描写だけど1段絞ればシャープな描写になる。 また、絞りを開けると画面周辺にある木の枝などにパープルフリンジが目立つのはオールドレンズらしい。

 画面に太陽を入れたりすると素敵なゴーストが発生してくれる。 コントラストが大きく低下する逆光フレアは好きじゃないけど、この程度のゴーストは出てくれた方が効果的に使えるので嫌いじゃない。 また、レンズの発色は少し寒色系で色乗りは悪くないけど、コテコテ系ではない。

 なお、テレ端ではフォーカスダイヤルの敏感度が高く感じるけど、ワイド端ではピントのピークを掴みにくいほど敏感度が低く感じる。 これらはダイヤル敏感度の他にフォーカスダイヤルにバックラッシュがあるのでピントを合わせ難いからだと思う。

あとがき

 使ってみれば判るけど、ズーミングもフォーカシングも操作性が悪すぎるし、縦横の構図を変えて構え直すと操作部材の場所が変わるのでアタフタしてしまう。 このレンズは容姿・操作性を含めてゲテモノとして充分な資格がある。
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